そんな不安を抱えている受験生は多いと思います。
この記事では東大英語リスニングで確実に点を取るための対策の方法をレベル別に詳しくお話ししていきます。
東大英語リスニングの難易度は確かに高めですが、そう感じてしまうのには理由があります。
その理由とそれを克服するための対策を、おすすめの参考書なども紹介しながらお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
(この記事は約7分で読み終わります)東大を目指す受験生が文系・理系問わずにぶつかる壁が「東大英語」です。受験の前になると社会や理科に意識が向かってしまいがちですが、英語でしっかりと点数を重ねることは合格への第一歩です。 […]
東大英語リスニングの基本情報
まずはじめに東大英語リスニングの基本的な情報を確認したいと思います。
対策を立てる前に特徴や傾向を知ることでより効率よく学習を進められますので、ぜひ参考にしてみてください。
形式
A、Bは連続した内容で、Aがラジオや講義形式など、Bはその内容について複数の人物が話し合うという形式になっています。
またCは内容に関連がなく、独立した問題であるというのが例年の傾向です。
時間
リスニングの音声は試験開始から45分後に流れます。
全体の試験時間が120分、リスニングが30分程度なので、45分ー30分ー45分で試験時間が分割されることになります。
またそれぞれの英文は1つ3、4分の長さで2回ずつ読まれます。試験時間の途中で音声が入ってくるため、問題を解く順番も考慮して対策を立てる必要があります。
配点
全受験者が「開始後45分から30分間強制的に音声を聞かなければならない」という条件下で問題を解きますので、ここで可能な限り失点を抑え、確実に点を取ることが重要です。
合格者平均点・目標点
しかし筆者や周りの友人の自己採点結果を見ると、多くの合格者が20点以上を取っており、満点やそれに近い点数を取る人も少なからずいるという印象を受けます。
30点満点となると非現実的に思われるかもしれませんが、リスニングの設問は記号問題ですので、和訳や英作文などの記述式の問題と比べて満点を狙いやすい問題形式であることは確かです。
とは言え満点を取るのは容易いことではありませんので、目標としては25点前後(1問2点の配点だと思いますのであくまで目安として)を獲得できれば十分だと思います。
音源の速度
先ほどもお伝えしたように、それぞれの大問の英文は3、4分で読み上げられ、500語ほどの分量があります。
時間と分量だけ見るとかなり重たいように感じられますが、実はこの読み上げ速度はセンター試験のリスニング問題と同程度かやや速い程度なのです。
ちなみにネイティヴスピーカー同士の会話の速度は200語/分だと言われているので、それと比較すればややゆっくりであることがわかります。
長さ・分量
しかしこの分量をリスニングによって頭に入れるには、長文読解とはまた違った集中力を働かせる必要があります。
そのため実際の分量よりも長いと感じてしまうかもしれません。そのような中でいかに集中力を切らさずに問題を解けるかが高得点を叩き出すカギになることは間違いないでしょう。
難易度・レベル
しかし反対に言えば、対策がきちんとできていれば全く歯が立たないほど難しいという状況に陥ることはないということです。後ほどリスニング対策に役立つアドバイスをお伝えしますので、ぜひ読んで参考にしていただければと思います。
また、リスニングの英文の難易度自体はそこまで高くはありません。長文などでは比較的難しい英単語が出て来ることがありますが、それに比べるとリスニングの英単語の難易度は低い印象を受けます。
よって、難しいと感じてしまうのは内容のせいではなく、時間の長さや読み上げの速度が問題なのだということがわかります。
得点のコツ
以上を踏まえると、東大英語リスニングで高得点を取るコツは、「英文が読まれている間集中力を切らさないようにすること」、「英文が流れる速度に慣れておくこと」だと言えます。
繰り返しになりますが、音声や問題文、選択肢の英語のレベル自体はそこまで高いわけではありません。リーディングや英作文の対策、英単語の勉強をしていれば対応可能な難易度です。
目標点を取るためには「とにかく耳と頭をリスニングに慣らす」ことが重要で、それさえできればあとは演習をこなすだけです。
リスニングに慣れるための具体的な方法については後ほどお話しします。
試験会場の音質
試験会場の音質については毎年話題が出ているような気がしますが、「リスニングの音質が悪く聞き取りづらい」「試験を受ける教室によって差がある」というのはよく言われる話です。
筆者の受けた教室のスピーカーは音声が聞きづらいというほどではなかったので本番で困ることはあまりなかったのですが、音質が悪かった時のための対策は少ししていました。具体的にはスピーカーの音を少し聞き取りにくい程度まで下げた状態での練習などです。
ですが、普通に考えて試験を受けた教室によって音質にかなりのばらつきがあっては不公平になってしまいますし、音が潰れて聞き取れなければ試験になりません。クリアな音声とは言い難いのは確かですが、少し対策をすれば必要以上に不安に思う必要はないと言えます。
本番では緊張していることも相まって普段よりも聞きづらく感じる可能性もありますが、練習をこなしておけば少しでもその不安が和らぐはずです。
東大英語リスニングの対策・勉強法
ここまで東大英語リスニングの基本的な情報を見てきましたが、ここからはその対策について詳しくお伝えしたいと思います。
東大入試のリスニングは難しいという印象を受けがちですが、対策をしっかりすれば十分に対応可能だということはお分かりいただけたかと思います。
これからお話しする勉強法やアドバイスを参考にして、リスニングに対する苦手意識をなくして得意分野にしていただければ嬉しいです。
いつから対策すべきか
先ほども述べたように、リスニングで高得点を取るためには「集中力を切らさないこと」、「速度に耳を慣らしておくこと」が必要不可欠です。
そのためには一日でも早くリスニング対策を始めておくことが大切です。
ただ対策といっても急にバリバリ過去問を解き始めたり、専用の参考書を使ったりしても、負担が大きく長続きしない可能性が高くなってしまいます。
そのため最初は手軽にできる簡単な教材を使い、「力がついてきたな」と感じたら徐々に難易度を上げていくという方法がおすすめです。
たまに「リスニング対策はリーディング対策が終わってから」という人もいますが、筆者はそこまで無理のないリスニング対策をリーディング対策や英作文対策などと並行して早い段階から行う方がはるかに効率が良いと思います。
というわけで、ここからは東大英語リスニングの対策にぴったりの教材をレベル別にご紹介します。
まずはYouTubeのTEDedがおすすめ
リスニング超初心者が本当に手軽に始められる教材としておすすめしたいのが、TED-edのアニメーション映像です。
TED-edはスピーチやプレゼンテーション動画の配信で有名なTEDが子供や若者の教育のために行なっているプロジェクトです。
TED-edの動画はYouTubeなどで視聴することができ、「古代ローマの最も悪名高い医者」や「茶の起源」など個性的で知的好奇心を刺激するような内容をアニメーションで見ることができます。
英語を聞くことにあまり慣れていない段階から参考書などを使って勉強するのは大変なので、毎日少しずつ視聴することで楽しみながら練習することができるというのは大きなメリットだと言えます。
もちろん流暢な英語音声付きですし、短時間の動画が多いのでリスニング対策の入り口としては最適です。
最初は日本語字幕も上手く活用して、慣れてきたら字幕はオフにして、最後は映像を見ずに音声だけで練習するのがおすすめです。
共通テストのリスニング対策も効果的
少しレベルが上がってきた段階でおすすめなのが、共通テストのリスニング対策です。
東大入試ではセンター入試や共通テストの点数が圧縮されて2次試験の点数に加算されます。センター試験では英語はリスニング以外の部分のみが圧縮の対象でしたが、今年度の共通テストからはリスニングもその対象になります。
共通テストはこの記事の執筆時点ではまだ行われたことがないため詳しい難易度はわかりませんが、センター試験と同レベルだとすると東大のリスニングよりは難易度が低いということになります。
ということは、まだリスニングで耳が慣れていない段階においてはちょうど良いレベルの教材になるということです。
共通テストであろうが東大入試であろうが、リスニングの勉強・対策においては「耳を鳴らす」ことが最も大切なことですので、共通テスト対策をしっかり行うことは両方の試験の役に立ち、まさに一石二鳥といえるのです。
ディクテーション
共通テストの対策も進んで、リスニングにも慣れてきた受験生の皆さんにおすすめしたいのは、ディクテーションです。
高校や予備校でやった方も多いかもしれませんが、ディクテーションとは聞こえた英語を一言一句正確に書き取る練習のことです。書き取るためにはかなり集中していなければいけないので、継続して行うとでリスニング力が高まります。
この練習も始めはゆっくり感じるくらいの無理のない速度から徐々に速くするのが良いと思います。徐々にスピードアップすることで、自分でも気がつかないうちにディクテーションできる速度が上がります。
また、書き取ったものをテキストと照らし合わせて答え合わせをすることによって、前置詞や複数形などの文法要素の中で自分が間違えやすい部分を把握することができるというメリットがあり、リスニング以外の対策にも役立ちます。
ただしディクテーションが得意になったからといって、本番に流れるリスニング音声を全て書き取ろうとするのは絶対におすすめしません(そもそもディクテーションできるような速度ではないのでやろうとする人はいないと思いますが…)。
本番の音声は2回流れるものの、一部でも聞き逃せば失点につながってしまう可能性もあります。本番の緊張もある中で全て書き取ろうとしてもかえって焦ってしまうことが考えられるため、ポイントとなりそうな単語や数字だけをメモするのがおすすめです。
シャドーイングと音読
これとは別に筆者がやっていた東大英語リスニング対策はシャドーイングと音読です。
シャドーイングは、お手本となる音声からわずかに遅れて全く同じことを繰り返すという練習です。あまり耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、第二言語習得において一定の効果があることが研究によって分かっており、同時通訳の訓練でも使用されることが多いそうです。
自分で発音できて速度について行くことができるということは、反対にその音声を聞き取ることができるということになります。こちらもディクテーションと同様に徐々にスピードアップすることで、聞くことのできる英語の速度を少しずつ速くすることができます。
シャドーイングに必要なのは英語の音源のみなので、上で紹介したTED-edやディクテーションに使用した教材などあらゆるものを利用することができます。またシャドーイングと合わせて通常の音読を行うのも効果的です。こちらについても同じ教材を使うことができるので、手軽に効率よくリスニング力をつけることができます。
ここまでおすすめの勉強法をご紹介しましたが、一つだけ注意点があります。それは毎日少しずつの分量を継続して行う必要があるということです。
これはあらゆる科目の勉強に共通して言えることかもしれませんが、リスニングの場合は「耳を慣らす」ことが大切なので、ある日は1日中リスニングの勉強をしてまたある日は全くしないというのでは十分な効果は望めません。
かといって毎日長時間をリスニングの練習に費やすこともできませんから、先ほどご紹介したものを中心に短時間(問題を解く時間は除いて30分以内が目安)でできることを継続するのが良いと思います。
イギリス英語の対策
リスニング音声には複数人の登場人物が登場しますが、その中にイギリス英語を話す人物が出て来ることも少なくはありません。
このイギリス英語も初めて聞くと驚いて焦ってしまうかもしれないため、読み上げの速度と同じく耳を慣らしておく必要があります。
最近ではYouTubeなどのサイトにイギリス英語を学ぶことのできる様々な動画が上がっているのでそれらを活用するのがおすすめです。また海外ドラマや映画でもイギリスが舞台になっているものがたくさんあり、それらもイギリス英語に慣れるという点においては大いに役立ってくれます。
ただドラマや映画は内容が難しかったり、会話にスラングが含まれていたりするものもあるので、あくまで発音に慣れるための副教材としての利用をおすすめします。
問題文を先読み
前にもお話しした通り、リスニングの音声は試験開始45分後から突然始まります。
開始後に指示が読み上げられる時間はありますが、それが終わるとすぐに問題の英文音声が始まってしまいます。
つまりリスニング開始以降、設問や選択肢を確認する時間はほとんどありません。
もちろん聞こえてきた英文の内容を丸覚えしてしまえば事前に問題や選択肢に目を通す必要はありませんが、それができる人はなかなかいないと思いますので、やはり前もって先読みしておく必要があります。
いつ先読みをするかは人それぞれの好みがあると思いますが、一番おすすめなのはリスニング開始直前です。反対にあまり前に読みすぎると音声が流れる頃には忘れてしまう可能性があるのでおすすめできません。
ですが他の問題との兼ね合いもあると思いますので、何度か模試を受けたり過去問を解いたりして、自分なりのスタイルを見つけてみてください。
ちなみに筆者は開始直前に問題文だけ読んで、2回目の音声の間に問題を解いていました。それなりに慣れると先読みや回答時間の短縮も可能になるので余裕がある場合には試してみてください。
東大英語リスニング対策におすすめの教材・参考書
東大英語リスニングの対策やおすすめの勉強法についてお話ししてきましたが、ここからはさらに詳しく具体的な参考書類をご紹介します。
ディクテーションやシャドーイング、音読などを続けることで耳が慣れて英語音声を聞き取るのが上手くなってきたら、実際に問題を解く練習をしてさらに力をつけましょう。
意外と役に立つ英検対策本
はじめに(番外編的にですが)お勧めしたいのは、英検の対策本です。
東大入試とは直接の関係はありませんが、これも東大のリスニング対策にかなり有効だと考えています。
よく東大英語は英検準一級と同等のレベルだと言われます。筆者も高校生の時に準一級を取得しましたが、実際にそう感じました。
ただし、英検が単語の難易度を重視しているため文章の内容は比較的平易なのに対して、東大の英語は読解力重視のため単語は比較的簡単で文章の内容が難しいものになっているという違いはあります。
ですので、TED-edやディクテーションなどでリスニングに慣れてきたら、英検準一級の問題を腕試し的にやってみるのもおすすめです。
英検の教材は大量に出版されていますが、リスニング用に加えてリーディング用の長文の読み上げCDが付いているものも出ていますので、ディクテーションに使う教材も兼ねて両方入っているものを使うのが良いでしょう。
灘高キムタツの東大英語リスニング
ここから本命の教材についてご紹介していきたいと思います。
まずおすすめしたいのは、「灘高キムタツの東大英語リスニング」シリーズです。このシリーズは東大英語リスニング対策の鉄板とも言えるほど多くの東大受験者が使っている教材で、3冊出版されています。
『灘高キムタツの東大英語リスニング』
キムタツシリーズの中で最も汎用性が高いのがこの「灘高キムタツの東大英語リスニング (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)」でしょう。レベルとしては3冊のうちの真ん中に相当します。
「灘高キムタツの東大英語リスニング」の最大の特徴は、リスニング対策における「戦略」と練習問題、模擬テストが一冊にまとまっていることです。
東大受験のための参考書は世の中に溢れていますが、過去問を除くとリスニングに特化した教材はほとんどありません。本書は貴重なリスニング特化本であるだけでなく、多くの受験生を指導した著者のノウハウが詰まった有益な情報源でもあります。
また問題やCDに収録されている英語音声も東大入試と同じようなレベルや分量になっているため、一通り解き終わった後もディクテーションや音読の教材として有効活用することができます。
キムタツbasic
次におすすめするのは「キムタツの東大英語リスニング BASIC (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)」です。
先ほどの教材と同じシリーズの参考書ですが、こちらの方が難易度が低く、「まだ本番レベルの問題には手を出せない」という人におすすめです。
難易度は下がりますが構成自体が大きく変わるわけではなく、リスニング対策の「戦略」などの情報はこちらにも載っています。収録されている問題は良問が多く、ディクテーションなどに利用することができるので、練習を重ねて慣れてきたなと感じたら上の教材にレベルアップするのが良いでしょう。
キムタツsuper
キムタツのリスニング対策シリーズで最も難易度が高いのが、「キムタツの東大英語リスニングSUPER (英語の超人になる!アルク学参シリーズ) 」です。
こちらは英語の内容自体のレベルも非常に高く、最初に紹介した教材が終わり「まだ余裕があるな」と感じる人向けです。筆者も使っていましたが、難しくて自信を失くしそうになることがありました。
上記の二冊で練習することでかなり力はつくと思いますので、SUPERは絶対にやらなければならないというわけではありません。ただCDの英語音声に環境音が入っており、わざと聞きづらくなるような工夫がされているので、本番の試験会場での音質の悪さに不安を感じる人は練習がてら聞いてみても良いかもしれません。
鉄緑会東大英語リスニング
「鉄緑会 東大英語リスニング(鉄緑会英語科)」は演習におすすめの一冊です。
収録されている問題数が多く、12年分・36問もの問題を解くことができます。鉄緑会が東大入試を分析し作成した良問やポイントを押さえた解説が充実しており、受験生からの評判がとても良いです。
難易度も東大入試と同程度なので、これからご紹介する過去問集と合わせて本番と同じような心構えで解いてみるのがおすすめです。
東大の英語リスニング20ヵ年(過去問)
最後にご紹介するのは「東大の英語リスニング20カ年 (難関校過去問シリーズ) 」です。
こちらはおなじみの過去問シリーズのリスニング特化本で、収録されている問題数が他の教材に比べて圧倒的に多いです。また内容も過去問とその解説なので、受験の前には必ず解いておきたい一冊です。
はじめの方でお伝えしたように東大のリスニングは3つの大問に分かれており、講義やラジオのような形式や会話形式など複数の出題形式が存在します。その全てに対応するためにはやはり問題の数をこなすことが必要です。
特に会話形式の問題には独特の表現があったりするため、長文や和訳に出てくるようないわゆる堅い文章とは違った印象を受けます。
過去問演習を十分行うことによってそのようなリスニング特有の英文にも慣れることができるため、まず一回本番形式で解いてみた後も繰り返し復習してみることをおすすめします。