この記事では東大の中でも最も学生数の多い理科一類について体験談などを交えながら詳しく解説していこうと思います。
理一志望の受験生のみなさんはぜひ最後まで読んで参考にしてください!
また、学生生活のことなども書いてあるので、理一志望者だけでなく東大を受験する方はぜひ目を通してキャンパスライフの雰囲気などを感じていただけたらなと思います。
・東大理科1類に合格した現役生が執筆
・東大二次は295/440で上位合格
・東大首席など100人以上にインタビュー経験のある管理人が監修
①東大理一の基本情報
ここでは東大理一の基本情報をさらっていきたいと思います。
偏差値
東大の中では理三だけが72.5と非常に高く、他の科類は全ておおよそ67だとされているようです。
定員
全科類合計の定員が3000人であることを踏まえると実に1学年の3分の1以上が理一の学生だということになります。
倍率
東大理一の志願者数は毎年異なりますがおおよそ3000人ほどとなっています。
これと募集人員数を合わせて考えると、東大理一の倍率は「およそ3倍」ということになります。
入試科目
東大理一の入試科目は5科目です。「理系国語」「理系数学」「英語」「理科(2科目)」です。
理科の2科目は理一だと「物理」「化学」を選択することが主流ですが、あくまでも受験生にその傾向が強いというだけで必ずしも「物理」「化学」選択にしなければならないわけではありません。
最低点
理一の合格者最低点を過去十年分振り返ってみると、
2011年 | 325/550 |
2012年 | 334/550 |
2013年 | 316/550 |
2014年 | 307/550 |
2015年 | 323/550 |
2016年 | 328/550 |
2017年 | 347/550 |
2018年 | 319/550 |
2019年 | 335/550 |
2020年 | 321/550 |
となっています。
共通テスト(センター試験)の約90〜100点分を引いた点数が二次試験のボーダーラインとなってきます。極端に難しかった年や簡単だった年を除けば、だいたい二次試験で230〜240点がボーダーです。
受験生の方は自分が各教科で何点取るかなどを概算して、過去問を解く際などの参考にしてみてください。
共テ足切り
東大理一の共通テスト足切りは「非常に高い」ことで有名です。過去十年分のセンター試験900点満点(英語リスニング除く)における足切りラインは以下のようになっています。
2011年 | 729点 |
2012年 | 770点 |
2013年 | 574点 |
2014年 | 681年 |
2015年 | 731年 |
2016年 | 728年 |
2017年 | 660年 |
2018年 | 715年 |
2019年 | 698年 |
2020年 | 681年 |
極端に低い2013年を除けば、例年およそ「8割」程度の点数になっています。
共通テストで8割の点を取ることが東大理一受験における第一の関門であるとともに、そこをクリアできなければ赤門をくぐって二次試験を受けることもできません。
該当する学部
ただ、後ほど述べる「進振り」という独自のシステムが東大にはあるので、決して理学部または工学部で卒業しなければならないというわけではありません。筆者自身も理一に入学した後、文学部に進学しました。
②東大理一よりも理二の方が合格しやすい?
東大理系受験生の方なら、「実は理一より理二の方が合格しやすい」というまことしやかに囁かれている噂を聞いたことがあるかもしれません。
実際に東大理二の合格最低点は毎年理一よりも10点ほど低いとされています。また先ほど述べた「共通テスト足切りのボーダーライン」も理二の方が毎年低く設定されています。
二次試験の採点は各科類によって異なるので理二の方が簡単に受かると手放しにいうことはできませんが、それでも共通テストの点数が思っていたより低く、理一の足切りにかかってしまいそうな人はそこで諦めるのではなく理二に出願してみるのも一つの手かもしれません。
理一が「生物」でも受験できるように理二も「物理」を選択して受験することは可能です。
理二の該当する学部は「薬学部」や「農学部」など生物系の学科が多く、必然的に入学後の授業の割合として理一よりも少しだけ生物系の授業が大きいですが、そこまで大きく変わるわけでもありませんし「入ってしまえば勝ち」とドンと構えましょう。
学生「東大の理科2類ってどんなところ?」「理科3類がやばいってのは知ってるけど、理2の事はぶっちゃけあまり知らない…。」 というような東大志望者やその保護者の方は多いのかもしれません。&nb[…]
③東大理一の女子率はどれくらい?
東大生は入学後に選択した第二外国語によって約30〜40人ずつから成るクラスにそれぞれ振り分けられます。女子の人数はフランス語のクラスが4人、スペイン語のクラスが3人程度で他の外国語だとさらに少なく、筆者の年のドイツ語クラスは全員男子でした。
クラスシステムはクラス単位で授業の時間割が決まっているため、その中で学生同士仲良くなりやすいことが利点ですが、数人しかいない女子学生のうちには非常に肩身が狭く感じる人もいると思います。
学生東大の男女比はどれくらいなの? 管理人東大女子がリアルな実情を教えてくれるよ 「東大は女子学生が少ない」というのはよく言われる話です。受験生のみなさんの中に[…]
東大では現在、学生の女子率を上げるための努力をしており、また、それぞれのクラスに同数の女子学生を振り分けること自体がおかしいという議論も学内で行われてはいるようですが、当面は変わらなさそうです。
ですが学生生活はクラスだけで終わるわけでは当然ないので、女性の受験者の方は安心してください。サークルや初年次のゼミなど他のクラスの人と知り合える機会もあります。
ただ時代の流れに乗れていないシステムであることには変わりないので、嫌だと思った方はぜひ入学して声をあげてくださいね。
④東大理一の学校生活はどんな感じ?
ここでは東大理一の学生生活を筆者の体験をもとにご紹介したいと思います。
理一の正式名称は「東京大学教養学部前期教養課程理科一類」です。東大に入学するとこの「前期教養」に最低でも一年半は所属することになります。キャンパスは駒場キャンパスです。入学する前の諸手続きやサークル勧誘のテント列(コロナ禍では開催されないでしょうが・・・)などもこのキャンパスで行われます。
本郷キャンパスに比べると狭く、また1・2年生合計6000人がこのキャンパスで学んでいるので通りや食堂などはいつも混んでいます。特にみんながやる気に満ち溢れている4月はキャンパスにほとんどの人がやってくるため昼ご飯を食べるにも一苦労です。そんな駒場キャンパスで最初のうちは教室の場所もわからないまま授業を受けていくことになります。
理一の授業時間割としては必修の授業が週10コマ程度、その他「総合科目」と呼ばれる選択授業を各自埋めていきます。全体としては15コマ程度が平均かなと思います。
大学生は授業には出席しないという風潮が世の中にはあるようですが、さすが東大生、ほとんどの人がしっかり全授業に出席します。それを逆手にとって友達にノートなどを頼って自分はあまり授業に出ない人ももちろんいます。けれど、語学の授業などは出席必須なことがほとんどなので注意してください。
理一は授業のほとんどが理数系の授業で単位を取れるかどうかはほとんど学期末の試験によって決まります。語学の宿題など、毎週やらなくてはいけない課題などもありますが、毎晩大学から帰ってきたら寝るまで勉強しなくてはいけないということを(もちろん勉強しておいたほうがテストの時楽なことは当然です!)強いられるわけではありません。その分、みんなサークルやバイトに時間を使うことが多いように思います。筆者はサークルにはあまり行っていませんでしたが、家庭教師のバイトを授業が少ない比較的少ない曜日に入れていました。
ぶっちゃけて言ってしまうと、三年生になって専門的な学科に進学した後に比べると駒場時代は暇です。正直「教養課程」の是非は問われている部分もありますが、受験勉強を頑張ったご褒美みたいなところもあると筆者は勝手に思っていたので、できるだけ遊ぶようにしていました。
理一はクラス単位の必修授業が多いため、授業が終わった後に友達とキャンパス付近(駒場キャンパスは渋谷や下北沢が近いです)でご飯を食べたりしていました。また筆者は大学から東京に住みだしたので東京にしかない美術館などに休みの日は訪れたりしていました。
もちろん遊ばないといけないわけではありませんが、五月祭や駒場祭などのイベントも駒場時代はたくさんあるので、そこでクラスやサークルの人たちと仲良くなっておくと下で述べる「進振り」の時に情報交換ができてとても助かると思います!
コロナ禍だとオンライン授業などで大学に直接いく機会も少ないでしょうが、キャンパスライフをぜひ楽しんでください!
⑤東大理一の主な進学先はどこ?
東大には「進振り」という独自のシステムがあります。簡単に言えば、駒場時代の成績を使って進学先を振り分けられるというシステムです。なので「進振り」で高い点数を必要とする学科に進学した場合は駒場時代の勉強を頑張っておかなければなりません。
東大進振りについて受験生目線で書かれた記事が非常に少ない。 Google検索で上位ヒットする記事はどれも現役東大生向けのもので、受験生が知りたい情報だけを書いたものはあまりない。あったとしても余分な情報が多い。[…]
理一というのは「教養学部」の科類の一つで、ここに所属している間は理系の学問を中心に幅広い分野を学びます。具体的に言えば、「微積分」や「線形代数」も習えば「熱力学」や「電磁気学」も習います。英語や第二外国語の授業もあるし、選択授業に至っては「芸術論」から「相対論」まで文理を問わず勉強することができます。
こんな大学は日本ではなかなか珍しいのではないでしょうか。これは学生に教養を身につけさせるためでもありますし、いろんな分野を勉強して「自分が本当に勉強したい分野は何なのか」ということを学生に考えさせるためでもあります。他の大学だと高校三年生のときに自分の将来を決めなければなりませんが、東大の場合は二年間待ってくれます。
理一からの進学先は理論上どの学部にもいけます。ただし「進振り」において理一からの定員が一番多いのが「工学部」と「理学部」です。もちろん工学部と理学部にも人気の学科はあるので、そこへの進学を希望する場合は高い点数が必要です。
理一に入学すると先輩や友達から工学部や理学部について学科ごとの詳しい情報(研究内容・研究室の様子・進振りで必要な点数など)も入ってきます。それをもとにしてぜひ自分にあった進学先を見つけてください。
⑥東大理一から医学部はいけるのか?
東大理一から医学部に進学することは「理論上できます」。先ほど述べた通り、東大の「進振り」では「点数さえ高ければ」どの学部にも進学できるというものです。
ただし「医学部」は一学年あたり100人と狭き門で、さらに「理科三類」からの進学がほとんどです。理一から医学部への進学を目指す場合には理三以外の学生全員と1つか2つの枠をかけて争わなければいけません。
筆者の友達と同じクラスの人で理三以外から医学部に進学した人がいましたが、その人は駒場時代の平均点が95点を超えていたそうです。単位を取るだけなら50点あればいいところをその人はほとんどの授業で満点をとっていたことになります。
そんな猛者たちが東大にはたくさんいるので、もしみなさんの中に「理一から医学部に進学したい」という人がいれば、上で筆者が述べた「駒場時代は受験を頑張ったご褒美だから遊ぼう」などという楽観的な発想は捨てて死に物狂いで勉強した方がいいと思います。
繰り返し言うように、東大では「理論上どこの学部にも行ける」ということが保証されています。理一の授業を頑張っていい成績を取ることができれば、医学部に進学することも非常に難しいですがありえない話ではないです。
それに医学部を目指すほどの点数が取れるならば、他のどの人気進学先にも進学することができると思いますし、それだけ理一の勉強ができるならば医学よりも工学や理学の方に向いているのかもしれません。
ともあれ、「理一」に所属している一年半を有意義に使えば、自分が将来関わっていきたい分野がきっと見つかるはずです。
まとめ
今回は東大の中でも「最も入学者数の多い」理一について解説してきました。
高校時代や受験勉強とは違い大学生活では自分で考えて勉強することを求められます。特に東大では「自分で進学先を決める」ことができるのでより能動的に勉強することが求められると言えるでしょう。
理一入学者は基本的に理系の専門分野に進学することが多く、同時に大学院進学者も多いため「理一」生でなくなった後に東大で過ごす4年間を駒場時代に決めることになります。
勉強を頑張ったり友達と遊んだりバイトをしたりしながらぜひ有意義な東大生活を送ってください!