この記事では『詳説世界史研究』を買うべきか迷っている人向けに、特徴や購入のメリット・デメリット、受験に必要な人、効果的な使い方などを網羅的に解説します。
実際に使っていた東大生の筆者がレビューするので信憑性があると思いますよ〜。
・現役東大生ライターが執筆
・高校時代に『詳説世界史研究』を使っていた
・東大首席など100人以上に勉強法をインタビュー
『詳説世界史研究』とは
読者の中には、
という方がいるかもしれないので簡単に紹介します。
説明の丁寧度・網羅性・分量すべての面でグレードアップし、表紙もおしゃれでかっこよくなりました。
『詳説世界史研究』の特徴
ここでは、丁寧度・網羅性・分量全てにおいてグレードアップした『詳説世界史研究』の特徴を写真付きで見ていきましょう。
説明が丁寧
『詳説世界史研究』の特徴1つ目は「説明が丁寧である」ことです。
基本的にみなさんがお持ちの教科書『詳説世界史』は世界史教師を間に挟むことによって、つまり授業をすることによって世界史の内容が分かりやすく学べるようになっています。
そのため、行間を読む能力のない学生にとっては、
となってしまいがちです。
しかし、『詳説世界史研究』は『詳説世界史』では説明不足だった行間(具体的には背景知識など)もきちんと丁寧に説明してくれているので、より深く世界史を理解することが可能となっています。
細かい箇所まで網羅
『詳説世界史研究』の特徴2つ目はなんといっても細かい知識まで網羅していることです。
下級官僚についていうならば、胥吏(役所で文書作成などをおこなう事務員)の官界進出が容易であったことが、元朝の特色の1つであるといえる。宋や明の場合は、科挙に受かった官僚と科挙を受けていない胥吏の間には、厳然たる区別があった。胥吏は、計算や文書管理などの事務的能力はあっても、儒教の教養に基づく高い人格はないと考えられていたからである。それに対し、儒教的な道徳よりも実務的能力を重んじる元朝の治世は、エリート教育を受けない人々にとっても出世しやすい時代であったといえるだろう。(引用元:『詳説世界史研究』p210)
受験から数年経ってだいぶ世界史の知識が抜けている筆者ですが、この「胥吏」という歴史用語は初めて見た気がします。筆者が使っていた時も(たぶん)なかった、または細かすぎるので飛ばした気がします。
『詳説世界史研究』にはこのように、教科書『詳説世界史』の範囲を超える細かい知識が平然と記載されているので、網羅的に世界史を学習したい学生にはもってこいの1冊となっていると言えます。
圧倒的な文章量
上の画像をご覧いただければお分かりいただけますが、『詳説世界史研究』の文章量には圧倒されるものがあります。
ここまで説明してきた「丁寧な説明」と「網羅性」を同時に満たすためには必然的に文字数が多くなってしまいますし、フォントも『詳説世界史』よりも小さくしなければならないので、上の写真のように文字がびっしり詰まっているように見えるのです。
人によっては
となる人もいるでしょう。
ただ、そもそも本書は難関大受験生向けなので、これくらいの文章量で弱音を吐いているようでは受験はなかなか厳しいと個人的に思います。
『詳説世界史研究』を使うメリット・デメリット
『詳説世界史研究』の特徴がわかったところで、本書を使うメリット・デメリットについて確認していきましょう。
『詳説世界史研究』を使うメリット
まずメリットからです。
難関国公立大の受験生は、できることなら第一志望である国公立大の世界史に対応した勉強をしたいはずです。だいたいそのような大学は細かい知識よりも世界史全体の流れの理解を問う出題をしてきますから、用語集や一問一答集を用いた知識漬けの勉強はなるべく避けたいところ。
「通史も押さえられるし細かい知識も知れる」本書はそんな受験生にとって最大のメリットと言っても過言ではないでしょう。
『詳説世界史研究』を使うデメリット
『詳説世界史研究』のデメリットを頑張って考えてみたのですが、値段が高い以外思いつきませんでした笑。
本書の値段は税別で2,500円なので、普通の参考書の2倍近くはします。
その他にデメリットを挙げるとしたら、そうですね〜『詳説世界史』と併用しようとすると無駄が生じることでしょうか。
特に筆者のように持っている参考書全てに目を通さないと気が済まないタイプ(割といる)はどっちも中途半端になってなかなかストレスだと思います。
もし世界史研究を買うなら「『詳説世界史』は絶対に使わない!」という感じでないと、どっちつかずになってしまうので注意が必要かと思います。
『詳説世界史研究』は受験に必要か
ここまでご覧いただければ、『詳説世界史研究』が自分の受験に必要かどうかわざわざ筆者が言わなくてもお分かりいただけるのではないでしょうか。
『詳説世界史研究』は難関国公立または難関私立の一部の学生には需要がありますが、その他の受験生には正直必要ないと思います。
圧倒的な文章量でも苦にならないくらいの耐性がない受験生は無理して買う必要はないです。
『詳説世界史研究』を使うべき人
『詳説世界史研究』を使うべき人は以下の2通りではないでしょうか。
東大などの難関国立大志望
まずは東大や京大、一橋大などの難関国公立大学志望の受験生です。
下でも触れますが、これらの大学を受験する学生は高確率で早稲田や慶應などの難関私立大も滑り止めとして受験する傾向にあるので、細かい知識に対応しておく必要があります。
早稲田大学を受験する時に宿泊するホテルどこにすればいいか問題。 「調べるのめんどくさいから誰か教えてほしい」「ここ!っていう場所決めて欲しい」 時間をかけて調べたくない人や誰かに教えて欲し[…]
ただ、一問一答をわざわざ買って枝葉の内容を文脈なしで暗記する作業はあまり望ましくないため、筆者は『詳説世界史研究』を購入して通史を理解しながら細かい用語も押さえる勉強法を推奨します。
早稲田・慶應志望
早稲田や慶應志望の学生は、とかく一問一答に頼りがちで教科書をないがしろにする傾向がみられます。
正直、日東駒専やマーチなどの学生はそれでも構いませんが、早稲田や慶應は格が違うので受験生としての自覚をもっと持っていてほしいです。
用語だけ詰め込んでもそれは将来的に使える世界史の知識とはならないので、我が国を牽引する存在になる早慶受験生には、通史の流れをしっかり理解して「生きた世界史」を学んでほしいです。
そのため、『詳説世界史研究』を購入して、細かい用語を押さえて私大2次対策しつつ世界史全体の流れもきちんと把握してもらいたいと思います。
『詳説世界史研究』の効果的な使い方
最後に『詳説世界史研究』の効果的な使い方を説明してこの記事を締めたいと思います。
東大に現役合格した筆者自身の経験や『東大勉強図鑑』の関係で100人近く東大生にインタビューした経験を踏まえると、一番シンプルで効果的な勉強法は何回も反復することだと思います。
最終的には筆者も教科書をぼろぼろになるまで読み倒して現役合格したわけですが、そこに至るまで結構遠回りしていたのも確かです。上でも触れたように若干参考書マニアなところがあったので、複数の教材を併用して中途半端になったりなどありました。
そうした結果悟ったのは、参考書を1冊に決めて全国のどこの誰よりも読み倒すのが世界史をカンストする上で必要だなということです。
『詳説世界史研究』はそういった意味で最も信頼のおける世界史教材となっていますので、これを使う受験生の皆さんは是非ボロボロになるまで読み込んでください。
論述のアウトプットは過去問でやればいいですから、通史や用語を覚えているかどうかを問題集で確認すると良いでしょう。