今回は、悩める学生のために、初の共通テストを受験した東大生の筆者が物理対策にオススメの参考書・問題集を選び方のコツも含めてレベル別に紹介します!
・東京大学の理系学生が執筆
・2021年共通テスト物理は100点満点
・東大首席など100人以上の東大生に勉強法をインタビュー
【確認】共通テスト物理は教科書だけで対策できるのか?
ということでまず、受験における学校の教科書の扱い方について言及しておきます。
共通テストは当然、「教科書以上の知識を出さない」ことを標榜しています。よって、共通テストは教科書の知識を前提としてそれをいかに応用できるかを問う問題しか出題されません。
では、教科書だけで学習を進めるべきでしょうか?
私はそうとは思いません。
なぜなら、教科書は物事の本質を中心にしか語らないからです。
教科書には無駄な例とか読んでいて面白い説明は書かれていません。何より、試験の問題を解くにあたり、短期的に結果が出る解法も載っていません。
しかしながら、物理の本質が抽出された教科書は、物事を深く理解するには最適です。参考書で要領を掴めなかった定理が、教科書を確認することで明快になることはよくあります。
なので皆さんには、教科書を旅のコンパスのように使ってほしいです。つまり、教科書を使って、自分の理解が本当に正しいのか、問題集の定理は教科書に記載されてあるのかを確認してほしいのです。
共通テスト物理の参考書・問題集選びのコツ
さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここから参考書、問題集選びのコツを述べていきます。
結論から言うと、最初に
ⅱ.図解、具体例で物理現象のイメージが掴める
参考書をこなしましょう。
その後は、
②二次試験がある人→二次試験のための問題集を終わらせてから共通テストの模試、過去問で演習
というステップで得点力をつけましょう。
では、順に解説していきます。
共通テスト物理はどんな対策をすれば効率良く得点を伸ばせるでしょうか?
まず、共通テストが他の試験(センター試験も含めて)と異なる点は2つあります。
それは、①実験や日常の物理現象から問題が作られる②定性的な判断を迫る問題が作られるということです。
この2つの特徴は、「必要な情報を問題から抽出した上で、特殊な設定にも惑わさることなく物理の本質を把握し、主体的に解を導く」能力が求められていることを意味しています。
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そこで、参考書、問題集は「丁寧な解説で基本が着実に学べる」「図解、具体例で物理現象のイメージが掴める」ものを選ぶべきなのです。
丁寧な解説で基本が着実に学べる
解説が丁寧でない参考書を進めてしまうと、「なぜその解答に辿り着くのか」「どういう定理が解答の根底にあるのか」がわからなくなりがちです。
そうなると、本当に理解しているのか曖昧なまま、
という状態に陥ってしまいます。
図解や具体例で物理現象のイメージが掴める
これは未知の現象の素早い把握に役立ちます。
共通テストは、公式の根本理解と実験、日常の物理現象を問いますから、導入の段階で物理現象のイメージが掴めれば大きなアドバンテージになります。
逆に図解や具体例がない参考書、問題集をこなしていると、数式を追うだけで心が疲れてしまいます。また、初見の現象は何が起こっているかよく把握できないという状態に陥る可能性が大きいです。
ぜひ、参考書の説明部分、問題集の解答部分に図解や現象の具体例が掲載されているものを選ぶようにしましょう。
共通テスト物理のおすすめ参考書・問題集5選
本題の「共通テストの物理対策におすすめの参考書・問題集をレベル別に紹介して行きます。
①、②→初心者が物理の根本を身につけるための2冊
③、④→二次試験対策をしたい人にやってほしい2冊(共通テストよりだいぶ難しい)
これらを仕上げると、共通テストは実践演習を積むのみです。
⑤→実践演習
①宇宙一わかりやすい高校物理
こちらの参考書(問題付き)は、現役東大生が書いた参考書であり、物理が嫌いな受験生に大きな支持を得る参考書です。一見分厚くて読み終わるのが大変に見えますが、1ページあたりの情報量は少なく、どんどん読み進められるのが特徴です。
随所に読者を飽きさせないための工夫が施してあり、今から物理を始める人にもオススメしたい参考書です。全部で「力学、波動編」「電磁気、熱、原子編」の2冊があります。
本体の中身は左ページが文章(いわゆる参考書の本文)、右ページが図解となっているため、視覚的・直感的に物理の現象について把握することができます。
予備校の物理講師には、高校物理範囲外の微積分やベクトルを存分に使って講義する方もいらっしゃいますが、この参考書はその全くの逆です。数学の予備知識のない高校生でも分かるように、物理現象の図解、日常の具体例がふんだんに用いています。
また、可愛らしいキャラクターたちが、物理の本質を突いた会話を繰り広げるので、自然と知識が印象に残ります。
それでもって、公式は無味乾燥な暗記でなく、なぜそれが成り立つのか、どういうときに適応できるのか十分に理解させてくれます。
また、別冊の問題はそれぞれ本冊の講義と対応していて、講義の理解を試すことができます。講義部分を熟読した上で、対応する問題を解くと非常に学習の効果が高いです。
②漆原晃の物理基礎物理
こちらの参考書(問題付き)は日本を代表する一流の物理学者、漆原晃氏が執筆された参考書です。全部で「力学、熱力学」、「波動、原子」、「電磁気学」の3冊があります。この中の苦手分野だけ参照してもいいと思います。
すべての講義部分は、「生徒が初めて見る問題でも、自力で合格答案を書ける力を効率よくつける」ことを目標に作られています。「初めて見る問題」とは、教科書に載っていないような応用問題を指します。
また、この参考書には、明快な現象の図があったり、講義部分は生徒と先生が会話している形式だったり、読者が物理に親しみを感じるための工夫がたくさんあります。
その上で、重要な公式はしっかり数式で証明し、なぜそれが成り立つのか十分に理解させてくれます。この「公式の理解」が共通テストにおける、定性的な判断を迫る問題で生きてきます。
また漆原氏は、明快でありながら様々な状況に等しく適応できる「シンプルかつ万能な解法」を強調して教えて下さいます。各章の講義を読み終えたら、最後の「まとめ」の部分で学んだことを確認しましょう。
本書の中の問題のレベルは意外と高く、中堅大学の二次試験をカバーできる程です。
③物理重要問題集(問題集)
こちらの問題集は、考える価値のある良問を幅広いレベルで集めた問題集です。
使う際は、解答が丁寧なので、じっくりにらみ合ってなぜそうなるのか考えてみて下さい。過去問と並行して仕上げることで、中堅大学合格に十分な思考力を鍛えることができます。
また、初心者から中級者まで段々とレベルと上げながら演習できることも魅力の一つです。
【要項】公式や基本事項等が簡単にまとめられています。
【A問題】共通テスト〜中堅大学レベルの問題が掲載されています。標準的なレベルの頻出問題が掲載されているので、基礎力の強化に最適です。
【B問題】早慶、東大、京大、東工大といった難関レベルの標準問題が掲載されています。
④標準問題精構(問題集)
難関大学の標準問題が90題収録されています。各問題の身につけたいテーマが明示されていて、解答も非常に丁寧です。小問は難しい順に「無印」、「★」、「★★」の記号が打たれています。
解説は次の3つの部分から成っています。
【精講】問題に関する知識や重要事項が整理されています。この「精講」の部分の知識は瞬時に出てくる必要があります。
【Point】「精講」部分のまとめです。重要事項や暗記事項がまとめられています。
【解説】解答の手順を具体的にまとめてあります。問題に対する考え方(なぜその立式になるのか?)や、より深い理解のための解説がなされています。記述式解答の模範になるような立式根拠の記述も参考になります。
⑤共通テスト対策問題集
この問題集は5回の駿台共通テスト模試、2回の思考調査の問題と解答が掲載されています。共通テスト問題集の中でも、本番を模した演習ができて量の割に値段がお手頃なので、一番オススメの問題集です。
ここまで4つの参考書、問題集を紹介しましたが、結局最後に大事なのは本番を模した演習です。なぜなら、これまで紹介した参考書、問題集をいくら完璧にしても、実践演習をしなければ共通テスト本番で失敗する可能性は大いにあるからです。
その理由の1つは、「共通テスト特有の設問形式があるから」です。
繰り返しますが、共通テストには、実験や日常生活の現象を絡ませた問題、グラフを読み取る問題など、独特の形式が予想されます。これらは難問ではないものの、二次試験ではめったにお目にかからないので、早めに慣れておくべきです。
理由の2つ目は、「時間配分などの戦略を考える必要があるから」です。
本番を模した演習を通じて戦略を練っておくと、点数が安定し、難しい問題が多くても一定の点数をキープできるようになります。
これで参考書、問題集紹介は終わりです!
皆さんのバイブルになる参考書が見つかれば幸いです。