書店に行って『詳説日本史研究』が目に入り、気になって手に取った方は多いのではないでしょうか?
筆者は高校生の頃若干参考書マニアだった時期があり、書店で初めて『詳説日本史研究』を見た時に衝動買いをしてしまいましたが、結論から言うとよく調べて買うべきでした。
この記事では『詳説日本史研究』が受験に必要なのか、使うメリットやデメリット、そして本書を使用すべき受験生と使い方まで網羅的に解説していきます。
・現役東大生ライターが執筆
・高校時代に『詳説日本史研究』を使用
・東大首席など100人以上の東大生に勉強法をインタビュー
『詳説日本史研究』とは
この記事を見ている人の中にはもしかすると『詳説日本史研究』を知らない人もいるかもしれないので、最初に簡単な紹介をしておきます。
上位互換と聞くと、
となりがちですが、そういうわけではないんですよね。
『詳説日本史研究』の特徴
『詳説日本史研究』の特徴は『詳説日本史』を内容面・網羅性・分量いずれもグレードアップした感じです。
説明が丁寧
『詳説日本史研究』は『詳説日本史』で読みづらかった行間を丁寧に説明してくれています。
みなさんがお持ちの『詳説日本史』は一人でも読めるっちゃ読めるのですが、基本的には日本史教師を間に挟むことによって、つまり授業を受けることによって分かりやすく理解できるようになっています。
そのため、日本史が苦手な生徒だと「行間が読み取れなくて難しく感じる」となってしまいますが、『詳説日本史研究』だったら行間も配慮して丁寧に解説されているのでその点心配いりません。
細かい箇所まで網羅
この特徴は難関大受験生から重視されます。
『詳説日本史研究』では、本来注に載るような細かい用語も平気で太字になっているので、細かい歴史用語まで網羅的に押さえたいという受験生にはもってこいの参考書となります。
『詳説日本史』では注釈として紹介されていた箇所がこちらですが、
❸1860年(万延元)年、ハリスの通訳であったオランダ人ヒュースケンが江戸で薩摩藩の浪士に殺され、さらに翌年、高輪東禅寺のイギリス仮公使館が水戸脱藩士の襲撃を受けた(東禅寺事件)。1862(文久2)年には、神奈川宿に近い生麦で、江戸から帰る途中の島津久光の行列を横切ったイギリス人が殺傷され(生麦事件)、同じ年の暮れには品川御殿山に建築中のイギリス公使館が高杉晋作・井上馨・伊藤博文らに襲撃されて全焼した(イギリス公使館焼き打ち事件)。生麦事件はのちに薩英戦争をまねく原因となった。
『詳説日本史研究』では上記内容がふつうに本文に載っています↓
(本文)〜そして、外国人を襲う事件が相つぎ、1860(万延元)年、ハリスの通訳であったオランダ人ヒュースケン(Heusken, 1832~1861)が江戸の三田で薩摩藩の浪士に斬り殺され、さらに翌年、高輪東禅寺のイギリス仮公使館が水戸脱藩士の襲撃を受け館員が負傷した東禅寺事件、1862(文久2)年には、神奈川宿に近い生麦村で、江戸から帰る途中の島津久光(1817~87)の行列の前を横切ったイギリス人を薩摩浪士が〜(本文)
という感じで、『日本史研究』ではかなり事細かに歴史的事象が語られていることがわかります。
圧倒的な文章量
『詳説日本史』は偏差値問わず多くの高校で使われるので文字の大きさや余白にかなり気を使っていますが、一方の『日本史研究』は丁寧な説明と細かい知識を網羅的に記述しているため、文字数が半端ないです。
文字数もそうですが、さらにフォントサイズも一回り小さいので、教科書を開くとびっしり文字で埋まっているのが一目で分かります。
『詳説日本史研究』を使うメリット・デメリット
『詳説日本史研究』の基本情報は以上です。
ここでは実際に使った筆者から見た『詳説日本史研究』を使うメリットとデメリットをお話ししたいと思います。
『詳説日本史研究』を使うメリット
まず『詳説日本史研究』を使うメリットですが、それは通史の流れを把握しつつ細かい歴史用語も一緒に覚えられることでしょう。
『詳説日本史』だったら通史を読みながら、細かい知識は山川用語集なりを使っていちいち確認しなければなりませんが、『詳説日本史研究』においてはその作業は基本的には不要です。
1冊で通史も用語も押さえられるという点は『詳説日本史研究』の最大のメリットだと思います。
『詳説日本史研究』を使うデメリット
一方、『詳説日本史研究』を使うデメリットに関してですが、こちらはミスチョイスで使ってしまうと受験に必要ない知識まで習得してしまうことが挙げられます。
これは特に東大志望だった筆者に当てはまることなのですが、東大受験のように細かい歴史用語が全く入試で問われないような大学には『詳説日本史研究』はヘビーな教材かもしれません。
『詳説日本史研究』は受験に必要か?
ここが本題ですね。
『詳説日本史研究』は受験に必要なのか?
これに関してですが、筆者の考えは
です。
そのため、まずは自分が受験する予定の大学の日本史の過去問を研究してみるのがよいでしょう。
そこで、以下では、『詳説日本史研究』を購入して使うべき人を解説したいと思います。
『詳説日本史研究』を使うべき人
『詳説日本史研究』を買って使うべき人は以下の3パターンの人です。
早稲田・慶應志望の受験生
まずは早稲田・慶應志望の受験生。
私文は教科書をないがしろにする傾向がありますが、それが通用するのは日東駒専やマーチレベルの学生ではないでしょうか。
さすがに、私立トップに進学する予定の学生には通史の流れもしっかり理解して「日本史」を勉強してほしいです。
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一橋大学の受験生
筆者は東大の過去問以外にも練習として一橋大の日本史も解いたことがあるのですが、ふつうに東大入試よりも「細かい知識が聞かれる」という点で難しいと感じました。
一橋入試は記述式の問題もばりばり出るはずなので、『詳説日本史研究』を用いて通史と細かい知識に対応しておく必要があります。
日本史教員志望者
そもそも『詳説日本史研究』は教員志望者向けと言われているくらいですから、高校で日本史の教鞭をとりたいという方には必読書だと思います。
『詳説日本史研究』の使い方
ここでは最後に筆者がやっていた『詳説日本史研究』の使い方を解説して終わりにしたいと思います。
読む際には、私立文系の学生は重要単語にマーカーを、難関国立大の学生は歴史的意義や背景、結果にマーカーを引きましょう。
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