この記事ではZ会の『実力をつける日本史100題』のレビューを受験生時代に使用していた東大生がしていきます。
受験生が知りたいことを「痒い所に手が届く」ように網羅的に解説したので、ぜひ最後までご覧ください。
・現役東大生ライターが執筆
・高校時代に『日本史100題』を使用
・日本史学年1位をトップ進学校で複数回達成
『実力をつける日本史100題』の基本情報
筆者は問題集を買うときに毎回巻末の「第○刷」という箇所をみるのですが、初めて『実力をつける100題』を見た時は速攻で買ってしまいました。
以下、著者、値段、ページ数、問題数、解説の丁寧度など細かく分解して基本情報をみていきましょう。
著者プロフィール
値段
だいたい1,500円あれば買えるので高校生にとってもリーズナブルな値段と言えるでしょう。
ページ数
問題数
厳密に言うと、100題の文章題があって、それぞれが問10まである小問集合となっています。
質
ただ、デメリットのところでもお話ししますが、質が高すぎるゆえ「そんなこと聞いて何になんの?」みたいな問題も散見されます。
学問的な知見からは「質の高い」問題でも受験の観点からは「???」となるような問題がいくつかあるのは否めません。
解説の丁寧度
2部に分かれてる
『実力をつける日本史100題』の冊子は巻末部分に解答冊子が糊付けされており、ベリッと剥がす構造となっています。
『実力をつける日本史100題』のメリット・デメリット
上では『実力をつける日本史100題』の基本情報を確認してきました。
ここからは本書を使うメリットとデメリットを解説していこうと思います。
『実力をつける日本史100題』のメリット
時代ごとテーマごとに演習ができる
『実力をつける日本史100題』を使うメリット1つ目は、時代やテーマごとに問題が構成されていて、学習進捗度に合わせて問題演習ができる他、苦手分野を重点的に復習できることでしょう。
1. 旧石器文化と縄文文化
2. 弥生文化と邪馬大国
〜
16. 地方政治と武士団
第2章 中世
17. 院政と平氏政権
18. 鎌倉幕府の成立
〜
第3章 近世
上では省きましたが、第5章は「テーマ史」となっており、郡制史や土地制度史、商業史など入試に出やすいテーマから厳選された問題が載っています。
このように、『実力をつける日本史100題』はテーマごとに学習進捗度や苦手度に合わせた学習スタイルが可能となっている点がメリットと言えるのです。
問題を解くことで通史の理解が深まる
『実力をつける日本史100題』のメリット2つ目は、文章題を解くことで通史の流れや時代背景、結果などの理解を深めることができるという点です。
どういうことかと言うと、『実力をつける日本史100題』の各問は下の写真のように文章題となっていて、ある歴史に関する文章を読み流ら解き進める形式になっているのです。
『実力をつける日本史100題』の文章題を説いている中で「あ、そういう視点もあったんだ」「この出来事ってこういう文脈だったのね」という風に、再度通史の理解を深める良いきっかけになります。
また、教科書を読んでいるだけだと、実際の入試でどのように出題がされるか分からずぼーと読んでしまいがちですが、『実力をつける日本史100題』で演習することで、普段教科書を読むときから出題を意識して読むことができるようになります。
出題のセンスが抜群!質がいい
筆者は高校時代若干(いや実際はかなりの)参考書マニアだったので、日本史問題集に関して言えばZ会の100題だけでなく、●進の問題集も購入して使っていました。
ただ、東●の問題集とZ会の問題集を同時に使っていると、Z会の『実力をつける日本史100題』がいかに質の高い問題集かが分かります。問うてくる問題のセンスも全然違いますし、なにしろ文章題のクオリティが半端ないです。
『実力をつける日本史100題』のデメリット
ただ、何事にも2つの側面があるので、当然『実力をつける日本史100題』にも使う際のデメリットというのが存在します。
論述問題が少ない
まずは圧倒的な論述問題の少なさです。
毎回か2回に1回くらいの割合で2行問題くらいの論述問題が出ることには出るのですが、難関国公立志望者の期待に沿うようなレベルの論述問題とは言い難いです。
模試の論述問題対策には十分ですが、国公立大の論述問題を視野に入れると何か足りないです。
そもそも、本書は論述というよりも通史を理解しているのか、基本的な歴史用語は覚えられているのかをチェックする問題集なので、論述力を高めたいという受験生にはオススメしません。
論述問題が少ないというのがデメリットの1つ目でした。
クセの強い謎問題がある
『実力をつける日本史100題』のデメリット2つ目は冒頭でも軽く触れたように、「それ聞いて何になるの?」というような受験日本史の観点からは??となるようなクセの強い問題がたまに出題されることです。
ただ、模範解答的な歴史用語でなくとも、日本史という学問の観点からは重要な概念である問題であることには変わりはないので、やはり『実力をつける日本史100題』は質が高い出題がなされるなあという印象ですね。
『実力をつける日本史100題』の使用をオススメする対象者
『実力をつける日本史100題』のメリット・デメリットをお話ししたので、あとは購入をおすすめしたい対象者についてですね。
本書の購入をオススメしたい受験生は以下の通りです。
● 早稲田・慶應・上智などの難関私立大学を志望する受験生
まず、前者の難関国公立志望者に関しては、それぞれの入試対策ではなく、通史の理解度を図るための第一段階的な問題集として『実力をつける日本史100題』を使用することをオススメします。
次に、後者の難関私立大志望者に関しては、過去問演習まで『実力をつける日本史100題』を繰り返し復習することをオススメします。
両者ともに共通する本書の効果的な使い方を下で見ていきましょう。
『実力をつける日本史100題』の効果的な使い方
『実力をつける日本史100題』を効果的に使う方法は以下の通りです。
通史を学んだら該当する問題をすぐに解いてみる
まず1周目ですが、教科書や授業で通史を学んだあとにどれくらい理解しているかチェックするためにも1回『実力をつける日本史100題』で該当箇所の問題を解いてみましょう。
その結果、Z会が掲げる合格点に達していた場合は次の時代の勉強に進みましょう。達しなかった場合は、もう1度該当箇所を勉強することをお勧めします。
模試直前に2回目を解いてみる
日本史に限らず、問題集は最低でも2周すべきです。
だいたいどの受験生も3ヶ月に1回くらいは模試を受験するでしょうから、『実力をつける日本史100題』の2周目はそのタイミングで、模試直前にしてみてください。
結構忘れていて焦るはずです。その焦りが受験勉強においては大事なのです。
『実力をつける日本史100題』が終わった後やるべきこと
『実力をつける日本史100題』が終わった後は何をすればいいのか、他の問題集を買って演習すべきなのかに関しては、
と疑問に思うかもしれませんが、筆者の失敗経験として、自分の志望校以外の問題がたくさん載っている「不純な」問題集で論述力をつけるくらいなら、(通史が完璧ならば)颯爽と過去問演習に入った方がいいです。
入試が決まるのは英数(私立は英語)ですので、日本史の論述特化問題集をやるくらいなら早めに過去問演習して浮いた分の時間を英数に回してください。
まとめると、『実力をつける日本史100題』が終わって通史完璧だぜという学生はすぐに過去問演習に入って日本史を完成させちゃってください。
『実力をつける日本史100題』に関してよくある質問
『実力をつける日本史100題』に関しては基本的に以上となります。
ここでは最後に本書に関してよくある質問にQ&A形式でお答えして記事を締めたいと思います。
Q.『日本史100題』はいつから始めればいい?
上でも申し上げたように、日本史の学習or授業が始まったらすぐに買ってください。
そして、各時代の通史が習い終わったらすぐに問題演習してください。
Q.先生に「日本史100題はいらない」って言われました。どう思いますか?
その先生の言い分に納得するなら買わなくても良いのではないでしょうか。
先生の言い分に納得しないで、筆者が書いたこの記事に納得するのであればリンクから購入してください。
Q.私立志望なんですけど『日本史100題』と『一問一答』どっちにすべきですか?
まずは100題で通史を理解しているかチェックしてください。直前期だったら一問一答がコスパいいです。
Q.『日本史100題』と『日本史標準問題精講』どっちがおすすめですか?
後者を買ったことがないので前者を全力で推しておきます。
Q.日本史100題だけで共通テスト対策はできますか?
できます。ただ、共通テストの過去問も買ってしっかり対策してくださいね。
Q.『日本史100題』で東大対策ってどうですか?
100題だけで東大対策は不可能です。東大日本史は特殊すぎますので、こちらの記事を読んで対策してください↓
学生「東大日本史のいろはが知りたい」「東大日本史の論述対策を教えて欲しい」このようなニーズが多いです。本記事では東大日本史の入試対策・論述対策の方法を1からわかりやすく丁寧に解説していきます。 […]
Q.『日本史100題』で京大対策ってどうですか?
京大日本史は簡単なので可能です。ただ、過去問も買ってくださいね。