東大日本史の入試対策・論述対策を現役東大生が網羅的に解説

学生
「東大日本史のいろはが知りたい」「東大日本史の論述対策を教えて欲しい」

このようなニーズが多いです。本記事では東大日本史の入試対策・論述対策の方法を1からわかりやすく丁寧に解説していきます。

 

東大日本史はコツさえつかめば簡単ですが、方向性のずれた努力や余計な勉強をしていると一向に点数が伸びないばかりか、勉強時間だけやたらと消費して主要3教科の成績に影響が出てしまいます。

 

東大合格を勝ち取るためには、多くの東大合格者たちの共通的な勉強法を実践してコスパよく日本史対策をしていく必要があるのです。

 

管理人
それでは早速みていきましょう。

 

■この記事の信頼性
・東京大学4年の現役生が執筆
・模試1桁の点数→入試本番で40超え
・東大首席など100人以上の東大生に勉強法を調査

東大日本史の基本情報と分析

東大日本史のことをあまりよくわかっていない学生もいるので、具体的な対策法の解説に移る前に東大日本史の基本情報を確認し分析していきます。「まずは敵を知れ」です。

入試時間

東大日本史入試の制限時間は150分です。

 

この150分間で日本史・地理・世界史の中から2科目を選択して回答しなければなりません。

 

そのため、実質的に1科目75分の制限時間となります。ここで気をつけたいのが、実質1科目75分であるものの、時間配分は自由なので、たとえば日本史に90分世界史に60分かけるということもできます。ついつい片方の科目に時間をかけすぎてしまうと、もう片方が詰んでしまうので時間配分には注意が必要です。

配点

東大日本史の配点は各問15点の合計60点満点となります。

 

各問というのは下でも説明しますが、

・第一問(古代)15点

・第二問(中世)15点

・第三問(近世)15点

・第四問(近代)15点

という構成です。

難易度

東大日本史の本番の難易度は合格した立場から言うとそこまで難しくないです。

 

この記事を必死に読んでいる読者のみなさんに失礼かも知れませんが、難易度は東大日本史に慣れてきたら簡単に感じることもあります。

 

個人的には暗記要素の強い他の国立大入試の方が難しいのでは?という感じですね。

 

しかし、初見の受験生や、特に「暗記!暗記!暗記!」私大型日本史勉強をしてしまっている受験生にとっては手も足も出ないような難易度に変わります。

 

管理人
もはや魔法です。

 

東大日本史の難易度は以下で述べる対策法・勉強法を素直にやれば「ふつう」に感じられるようになるはずです。読み続けてください。

合格者平均点

東進の合格体験記やZ会が公開しているデータ、それに加えて筆者の周りの東大生の開示結果を見ると、

 

東大合格者の日本史平均点はだいたい40点くらいでしょう。

 

全国模試を受ければわかりますが、この点数はほとんどの人が本番で初めて叩き出すものです。つまり、本番は採点が甘いということですね。

 

管理人
↓↓↓解答速報に則って厳密に採点した日本史の答案(自己採30点)が開示で49点もらえていた話↓↓↓

 

 

そのため、東大日本史の模試や過去問演習の点数がこの40点に届いていなくてもあまり気にする必要はありません。

 

また、大手予備校のデータによると、東大日本史の不合格者の平均点が35点くらいらしく、合格者平均点の40点とくらべると大差ないことが分かります。

 

ここから言えることは、日本史では差がつきにくいので主要3教科の勉強をしっかりした方がよいということでしょう。

 

管理人
筆者は受験生時代に東大日本史の対策法・解き方が全くわかっていなくて「とにかく勉強時間を増やせば特典できるようになる」と勘違いしていましたが、東大の日本史は勉強量を増やしたところで、根本が間違っていたら、いつまで経っても得点できるようにはなりません。

 

東大日本史は正しい努力の方向性で一定の時間勉強すれば誰でも得点できるようになります。むしろ日本史に一定時間以上かけすぎると他の科目に影響が出てしまうので悪手です。

 

東大日本史で点数が出せていない学生は下に書いてある勉強法と対策法をよくみて、バランスよく勉強時間を使ってください。

東大日本史で50点台を叩き出している東大生たちの特徴

管理人
せっかく合格者平均点の話をしたので、東大入試本番で日本史50点台を叩き出した神様たちの話をしておきますね。

 

筆者は東大日本史40点台の一般東大生なのですが、東大入学後に50点台の人間に何人か会ったことがあり、その際に高校時代の日本史の状態を興味本位で聞いてみたことがあります。

 

聞いていて驚いたのが、彼ら彼女らは、普段は東大日本史で50点台など叩き出したことがなく、模試で高くても30点台後半運が良くて40点台だったということです。どうやら上で少し触れたように本番は採点が甘いようですね。

 

つまり、東大日本史50点台の人たちは「50点台を頻繁にとっていたわけではない」という共通点(?)があることが分かります。

 

とはいえ、普段の東大模試でそれだけとれていたら大したものだと思いますけど。

 

管理人
東大模試で50点台を叩き出した彼ら彼女らに共通する勉強法やマインドセットは、下の「東大日本史の入試対策」に盛り込んであるのでこのまま読み進めてください。

問題構成と大問別の出題傾向

東大日本史は4問構成です。

 

大問1から4まで例年時代順(古代・中世・近世・近現代)に出題されています。

 

いずれも記述式で、記述量はだいたい5行あたりでしょうか。東大入試の勉強をしていれば記述には慣れるのでビビらなくて大丈夫ですよ。

 

次に、東大日本史の出題傾向についてですが、具体的な説明は赤本を買って実際に見た方が早いので、ここでは大問ごと大雑把に要点だけつかみます。

 

第1問 古代

東大日本史の第1問は古代からの出題となります。

 

出題者から与えられた資料(史料)を読んで問題に答える」というのが東大日本史の基本的な解き方となるのですが、第1問はこの傾向が顕著です。

 

東大日本史、特に古代は、見たことも聞いたこともない文献や説を本番で目の当たりにします。が、動揺してはいけません。繰り返しますが、問題文の指示通りに回答作成すればふつうに点数が来ます。

 

頻出分野としては「律令制」や「古代日本の国家意識」、「周辺諸国との国際関係」あたりです。この辺の知識は何も見なくてもスラスラ説明できるレベルまで仕上げておくと心強いです。設問の意図を踏まえながら自らの知識を絡ませることで得点源とすることができます。

 

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第2問 中世

東大日本史の大問2は中世からの出題です。

 

日本史を学習すれば分かりますが、中世は範囲が広いです。

 

したがって、東大日本史においても「ここがよく出る!」と断言できるところは少ないです。顕著な傾向は見られないというのが率直なことろです。

 

筆者の受験経験からあえて出題傾向を示すとしたら、「公家・武家政権の関係」や「武家社会の性質」、「中世のムラ社会」などはしっかりと学習しておくと得することが多い気がします。

第3問 近世

東大日本史は基本的に与えられた史料・条件に沿って回答を作成すると言いましたが、近世あたりから受験勉強で培った知識に依存する傾向が高くなってきます。(とはいえ、史料・条件等を無視して自分の知識をひけらかしすぎるとだいたい失敗するので要注意。)

 

頻出テーマは「江戸の幕藩体制」です。「石高制」と「村・町などの末端機関を使った支配」は意識して勉強しておくとよいでしょう。「鎖国体制」も狙われます。

第4問 近現代

東大日本史の近現代は「開国」「大日本帝国憲法」「資本主義経済」「国際関係」の4つを軸としていかに体系的に基礎知識を習得できるかが鍵です。

 

ここでいう「基礎知識」は東大受験あるあるで単に簡単という意味の「基礎」ではありません。知識自体の内容はもちろん、その歴史的意義、結果、影響などを関連づけて組み合わさった土台的知識といった視点で学習をしましょう。

 

戦後の現代はあまり出題されませんので神経質になる必要はないです。とはいえ、放置すると筆者が受験した年である2016年度東大世界史のようにいきなり現代が出題されて爆死することになるので、基本的内容は押さえておきましょう。がっつり対策することはないということです。

東大日本史の入試対策

東大日本史の入試対策法を具体的に見ていきましょう。

インプットはとにかく山川詳説日本史を精読する

これはほとんど全ての東大生が口を揃えて言うことですが、東大日本史対策には山川の『詳説日本史』をボロボロになるくらい精読するのがもっとも良い方法です。

 

その理由は東大日本史はほとんどの問題が山川の『詳説日本史』を基に出題されており、基本的には山川を読んでいれば対応することができるからです。また、巻末の執筆者一覧をご覧いただければ分かりますが、そのほとんどが東大教授ですので東大日本史対策をしたいのであれば当然に『詳説日本史』を読み込めばいいことが分かります。

 

この「読み込む」というのがどれくらい読み込めばいいのか?と思う受験生がいるかもしれませんが、先ほども申し上げたように「ボロボロ」になるまで読み込んでください。それは周りの東大受験生がそれくらい読み込んでくるからです。

 

管理人
東大受験の試験会場で周りを見渡せば分かりますが、まじでボロボロの『詳説日本史』ばかりですよ。

 

山川の『詳説日本史』は最初の方はただ読むだけでもいいのですが、何周かしたら入試問題を意識して教科書を読むようにすると見え方がだいぶ違ってくるかと思います。具体的には、時代を俯瞰しながら事象の背景・原因や結果を意識して読み進めていくと効果的だと思います。

 

学生
教科書をただ読むのが辛い!何か作業したい

 

こういう学生も中にはいらっしゃると思うので、そんな学生にはこちらの書き込み式山川日本史がおすすめです。

 

アウトプットは過去問で演習

インプットは上で紹介した山川出版社の『詳説日本史』で十分であることを確認してきました。『詳説日本史』はほとんどの受験生が学校で用意してもらってると思うので、インプット教材は購入する必要がないですね。

 

ここではアウトプット用の日本史参考書を紹介していきたいのですが、東大日本史においては特別参考書を用意する必要はありません。

 

結論、アウトプットはいきなり赤本でいいです

 

その理由は、そもそも東大日本史の入試問題が独特で、一般的な参考書・問題集を使って力をつけても東大日本史が解けるようになるとは限らないからです。

 

また、その独特な東大日本史対策として各予備校が出したオリジナルの問題集も、変に難しくしていたり執筆者の歴史観が多分に含まれたような問題が散見されたりと質を担保できないものが多いので、アウトプットに関してはいきなり赤本から始めてもいいと思います。

 

学生
そうだとしても記述とか論述の練習を何かで積んでおきたい!

 

こういう東大受験生もいるかもしれません。気持ちはすごい分かります。

 

ですが、東大受験生の場合、その練習は東大国語の勉強でできているんです。答えを簡潔に書く訓練、冗長性を省く訓練は主に東大国語対策をする過程でしっかりと身につくので、日本史の論述問題集を買ってまで養成するものではありません。

 

貴重な過去問を丁寧に使いたい気持ちもわかりますが、東大日本史は丁寧に研究するよりかは、大量に解いて「慣れる」ことが一番大事です。

 

こうした理由で、東大日本史のアウトプット教材として赤本を使うことをおすすめいしています。

東大日本史の論述対策

上では「東大現代文で論述の訓練はできている」とは言いましたが、それでも毎年多くの東大受験生が日本史の論述対策で苦戦してしまいます。

 

端的に、東大日本史の論述で気をつけることは以下の3つです。

 

指示通りに解く

知識をひけらかさない

冗長な表現を避ける

 

この3つさえできていれば東大日本史の論述は問題ありません。

 

以下詳しく見ていきましょう。

出題者の指示通りに解く

過去問を見れば分かりますが、東大日本史は他大入試のように知っている知識を書けたら加点というようなものではありません。

 

出題者の意図に沿った回答をかけているのが大前提で、そこに必要最低限の知識が含まれていると加点という採点の仕方(おそらく)なので、受験生はとにかく出題者の意図に沿うことが何よりも重要なのです。

 

しかし、実際はこれができない東大受験生が非常に多いです。

 

管理人
何を隠そう筆者がそのうちの一人でした。

 

東大の問題ともなるといや、何かこう、もっと出題者の意図の裏側まで汲んだ解答を書かなきゃ…」とか「自分なりの解釈もいれておこう…」とか余計なことをしてしまう人が少なくありません

 

東大の問題だから何か特別なことをしなければいけないのだろうと、ただ聞かれたことだけに答えるのが心配になるのもわからなくないです。

 

しかし、余計な考え事はやめましょう。シンプルに聞かれたことをそのまま書けば大丈夫です。

 

 

出題は一種の会話ですから、出題者が求めたことにきちんと答えられない人は「コミュニケーションが取れない人」とみなされてしまいます。コミュニケーションが取れない人は採点する気も起きないので(実際には採点してもらえるが)かなり低い点数となっても仕方ありません。

 

繰り返しますが、東大日本史ではまず出題者の指示に従うことを第一にしてください

解答で知識をひけらかさない

東大日本史の論述対策で2番目に重要になってくるのは、回答に必要のない知識をひけらかして書かないということです。

 

私大型の暗記重視な勉強をしてきた歴史オタクの人たちにこの傾向があります。絶対に点が伸びないのでやめましょう。

 

上の内容と重複するかも知れませんが、東大日本史で重要なことはあくまでも出題者の意図に沿った論述をすることです。この点において、あなたがどれだけ蘊蓄を知っているかというのは出題者にとっては心底どうでもいいことなのです。

 

また、解答で余計な知識をひけらかすデメリットとして、無駄な知識を書いた文字数だけ本来回答に必要な要素を論述できないという機会損失を生んでしまうことでしょう。東大日本史の伸び悩みにつながるので、これは避けたいところです。

冗長な表現を避ける

東大日本史の論述対策として最後にもう一点気をつけたいのが、冗長性です。これは他の科目にも当てはまります。

 

余計な知識をひけらかすのと同じで、冗長な表現を書いてしまうとその文字数分加点要素の解答を論述できなくなってしまいます

 

普段から記事を書いている筆者も気を抜くとすぐに冗長な文章を書いてしまうので注意が必要です。

 

筆者の場合は、ウェブメディアの性質上字数を稼ぐためにあえて冗長な言い回しをしたり同じことを繰り返したりできるのですが、字数の限られている入試の回答欄では絶対にやってはいけません。点数の伸び悩みに直結します。

 

日頃から簡潔な表現を心がけましょう。1番の対策は学校や塾の先生に添削をしてもらうことです。

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東大日本史対策におすすめの教材

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最後に東大日本史選択者にとって有益な情報を共有させていただいてから終わりにしたいと思います。

 

東大日本史といえばこの方!というような大物日本史講師2名がブログで東大日本史について有益な情報を発信しています。日本史の勉強法で困ったら彼らのブログを覗いてみるのもいいかもしれません。

日本史野島博之のグラサン日記

過去に東進で東大日本史を担当、現在は学研プライムゼミで教鞭を執っている野島博之先生のブログ。

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