東京大学の前期教養課程には文系と理系それぞれ3つずつ、計6つの科類があります。その中で文学部と教育学部、教養学部に進学する学生が多いのが文科三類です。
文系科類の中では比較的入りやすいイメージのある文科三類ですが、実際はどんなところなのでしょうか。
この記事では、文3の入試情報から大学生活まで、文3出身の筆者の経験をもとにお話しします。文科三類を志望している受験生のみなさんのお役に立てれば嬉しいです。
・現役東大生ライターが執筆
・東大文科三類から文学部に進学
・多数の文三出身者にインタビュー経験あり
東大文科三類の基本情報
まず最初に受験生が押さえておくポイント1つ目は大学受験における東大文科三類の基本情報でしょう。
偏差値
偏差値72.5の理科三類と比べるとやや低く感じますが、一般的に見ればやはり偏差値は高めです。
定員
文1は401人、文2は353人なので文系科類の中では文3の定員が一番多いです。また数年前から始まった推薦入試の定員は学部ごとに決まっており、科類の定員とは別になっています。
ちなみに文3の女子学生の割合は例年3割を超えていて、東大の全科類の中で最も多くなっています。3割でも少なく感じますが、東大全体の2割に比べればまだマシな方だと言えます。
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倍率と共テ足切り
年によって多少の違いはありますが、文科三類の倍率は約3倍です。出願者の人数によりますが毎年共通テストの点数による足切りが発生する場合が多いです。
2021年の入試での文科三類の足切りは600点でした。7割を切っており、それほど高い点数とは言えません。ちなみに文1の足切り点は562点、文2では足切り自体が行われませんでした。一方ここ数年で足切り点が最も高かったのは2019年度入試の750点です(この時はセンター試験)。
このように8割を超える年もあれば足切りがない年もあり、どの程度の点が足切りボーダーになるかは全く読めません。
東大は共通テストの得点が圧縮され2次試験の比重が大きいため、共通テストの勉強が後回しになってしまいがちですが、しっかり準備して足切りにかかってしまうことがないようにしたいですね。
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受験科目
国語、英語(外国語)、社会(地歴から2科目選択)の文系3科目に加えて数学の試験も課せられるため、少しハードな入試になっています。
試験は2日に分けて行われます。1日目は国語(150分)と数学(100分)、2日目は地歴(150分)と英語(120分)です。どの試験も時間が長く集中力が試されます。
また公式に発表されているわけではありませんが、科類によって採点基準が違うというのはよく聞く話です。文1、文2と受験するテストの内容は同じですが、評価されるポイントが違うかもしれないというのは面白いですね。
合格最低点
文科三類の合格ラインはどのくらいなのでしょうか。
年によって差はありますが、基本的に300点台前半を推移しています。
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東大文科三類が1番簡単って本当なの?
文科三類は東大の文系科類の中で一番入りやすいという印象を抱かれがちです。筆者も受験生の時はそのようなイメージを持っていました。
受験ブログを読んでも「一番簡単なのは文科三類」「東大にどうしても入りたいなら文3を狙え」といったフレーズが氾濫しています。入学してからもなんとなく文三は簡単という雰囲気が漂っていたような気がします笑
先ほどもお話ししたように文1〜文3のここ3年の偏差値は全て67.5で、そこまでの差は感じられません。より詳しく見るために2012年〜2021年度の入試の合格最低点を、文系最難関とされる文科一類と比較してみることにします。
合格者平均点では毎年文1の方が上で、科類ごとに採点基準が違うとなると単純に比較することもできないのでなんとも言えませんが、最近法学部人気が落ちていることもあって文1と文3の差はだんだん縮まってきているのかもしれません。
「文科三類が一番簡単」というのは一概に言えることではないということがわかりました。
確かに文系3科類の中では一番合格最低点が低いことが多いですが、最近では少し様子が変わってきているようにも思えます。その背景には人気の学部や就職先の変化があるのかもしれませんが、今後文3がどのような立ち位置になっていくのか気になります。
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東大文科三類の大学生活はどんな感じ?
次に文科三類の大学生活について筆者の体験に基づいてお話しします。
講義は語学系や文系科目の必修に加えて理系分野のものも取る必要がありますが、入門的で簡単な内容が多いためレポートなどの課題さえこなせば単位を取るのは簡単です。
文3は勉強がそこまで大変ではないこともあり、サークルや部活、アルバイトに勤しむ学生が多いです。筆者の周りにも運動部の友人がたくさんいました。筆者も1、2年の間はアルバイトをしていることが多かったです。
もちろん課題や試験勉強に充てる時間は必要ですが、前期教養の間は自分の好きなことにある程度時間を割いても良いと思います。
最後に学祭についてお話しします。これは他の科類でも同じですが、前期教養の学生はクラスごとに学祭に模擬店を出すことが多いです。東大の学祭は5月に行われる五月祭と、11月に行われる駒場祭の2回あります。
以上が文科三類の学生の大学生活についての大まかなお話です。
他の科類(特に理系)に比べて試験が簡単だったり課題が楽だったりすることが多く、自分の時間を作りやすいです。様々なことを経験して自分の適性を見極めたり、この先どこの学部に進学してどんな研究をしたいのかをじっくり考えたりすることもできます。
突然ですが、質問です! あなたは、「東大の理1と理2の違いって何?」と聞かれたら答えられますか? いざ尋ねられると答えに窮する人が多いのかもしれません。 そこで今[…]
東大文科三類の進振り先の学部はどこ?
進振りは希望の学部や学科によってかなり頑張らなければならない場合とそうではない場合があります。
東大進振りについて受験生目線で書かれた記事が非常に少ない。 Google検索で上位ヒットする記事はどれも現役東大生向けのもので、受験生が知りたい情報だけを書いたものはあまりない。あったとしても余分な情報が多い。[…]
ですがよっぽど行きたい学科が決まっていない限りは、どのような学部や学科があるのか、どのくらいの点数が必要なのかなどの基本的な情報を早い段階でなんとなく把握しておくのがおすすめです。
文学部や教養学部、教育学部の中にも比較的進振りの底点が高い学科がいくつか存在し、2年生になってからでは手遅れになってしまう可能性があるからです。
以上をまとめると文科三類の主な進学先は文学部、教養学部、教育学部ですが、中には法学部や経済学部、理系の学部に進学する人もいます。
東大文科三類の学生はどういう業界に就職する?
これは進学先の学部よりもばらつきがあるため、一概にどの業界が多いのか答えることはできません。
ただ金融やコンサル、行政などの道に進む学生は他の学科出身者と同様に多い印象です。
「文学部は就職に不利」などということを言う人がいますが、筆者の周りを見る限り文学部や他の文科三類出身者がそれが理由で不利益を被ることはそんなにないと感じました。第一希望の企業に内定した人や有名企業に就職した人も多いです。
もしかすると文3や文学部を目指している受験生の中に、就職についての不安を抱えている人がいるかもしれません。
ですが、上で言った通り大学に入った後の経験の方がどこに入ったかということより重要です。
そもそも東大文系で就活が不利になるのであれば文系の学生全員が就活で不利になってしまいますが、実際そんなことはありません。
安心して勉強を頑張ってくださいね。
数ある記事の中から当サイトをご覧いただきありがとうございました。
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