「東大日本史のいろはが知りたい」「東大日本史の論述対策を教えて欲しい」といったニーズが多いです。本記事では東大日本史の入試対策・論述対策の方法を1からわかりやすく丁寧に解説していきます。
東大日本史はコツさえつかめば簡単ですが、方向性のずれた努力や余計な勉強をしていると一向に点数が伸びないばかりか、勉強時間だけやたらと消費して主要3教科の成績に影響が出てしまいます。
東大合格を勝ち取るためには、多くの東大合格者たちの共通的な勉強法を実践してコスパよく日本史対策をしていく必要があるのです。
それでは早速みていきましょう。
東大日本史の分析
東大日本史のことをあまりよくわかっていない学生もいるので、具体的な対策法の解説に移る前に東大日本史の基本情報を確認し分析していきます。
入試時間
東大日本史入試の制限時間は150分です。
この150分間で日本史・地理・世界史の中から2科目を選択して回答しなければなりません。
そのため、実質的に1科目75分の制限時間となります。ここで気をつけたいのが、実質1科目75分であるものの、時間配分は自由なので、たとえば日本史に90分世界史に60分かけるということもできます。ついつい片方の科目に時間をかけすぎてしまうと、もう片方が詰んでしまうので時間配分には注意が必要です。
問題構成
東大日本史は四問構成です。
大問1から4まで例年時代順(古代・中世・近世・近現代)に出題されています。
いずれも記述式で、記述量はだいたい5行あたりでしょうか。東大入試の勉強をしていれば記述には慣れるのでビビらなくて大丈夫ですよ。
出題傾向
東大日本史の出題傾向について解説していきます。
具体的な説明は赤本を買って実際に見た方が早いので、ここでは大問ごと大雑把に要点だけつかみます。
第1問 古代
東大日本史の第1問は古代からの出題となります。
「出題者から与えられた資料(史料)を読んで問題に答える」というのが東大日本史の基本的な解き方となるのですが、第1問はこれが顕著です。
東大日本史、特に古代は、見たことも聞いたこともない文献や説を本番で目の当たりにします。が、動揺してはいけません。繰り返しますが、問題文の指示通りに回答作成すればふつうに点数が来ます。
頻出分野としては「律令制」や「古代日本の国家意識」、「周辺諸国との国際関係」あたりです。この辺の知識は何も見なくてもスラスラ説明できるレベルまで仕上げておくと心強いです。設問の意図を踏まえながら自らの知識を絡ませることで得点源とすることができます。
あおみどろ 東京大学文学部の卒業生。乳児の頃に祖母の膝の上でマリオカート64を聴きながら育ったため、ゲーム好きになってしまった東大女子である。本人は自分のことをコミュ障だと自覚しているが、好きなお酒が入ると饒舌になり、飲み[…]
第2問 中世
日本史を学習すれば分かりますが、中世は範囲が広いです。
したがって、東大日本史においても「ここがよく出る!」と断言できるところは少ないです。
筆者の受験経験からあえて出題傾向をいうとしたら、「公家・武家政権の関係」や「武家社会の性質」、「中世のムラ社会」などはしっかりと学習しておくと得することが多い気がします。
第3問 近世
東大日本史は基本的に与えられた史料・条件に沿って回答を作成すると言いましたが、近世あたりから受験勉強で培った知識に依存する割合が増えてきます。(とはいえ、史料・条件等を無視して自分の知識をひけらかしすぎるとだいたい失敗するので要注意。)
頻出テーマは「江戸の幕藩体制」です。「石高制」と「村・町などの末端機関を使った支配」は意識して勉強しておくとよいでしょう。「鎖国体制」も狙われます。
第4問 近現代
東大日本史の近現代は「開国」「大日本帝国憲法」「資本主義経済」「国際関係」の4つを軸としていかに体系的に基礎知識を習得できるかが鍵です。
ここでいう「基礎知識」は東大受験あるあるで単に簡単という意味の「基礎」ではありません。知識自体の内容はもちろん、その歴史的意義、結果、影響などを関連づけて組み合わさった土台的知識といった視点で学習をしましょう。
戦後の現代はあまり出題されませんので神経質になる必要はないです。とはいえ、放置すると筆者が受験した年である2016年度東大世界史のようにいきなり現代が出題されて爆死することになるので、基本的内容は押さえておきましょう。がっつり対策することはないということです。
配点
各問15点の合計60点満点となります。
難易度
東大日本史の本番の難易度は合格した立場から言うとそこまで難しくないです。
なんなら他の国立大入試の方が難しいのでは?という感じですね。
しかし、初見の受験生や、特に「暗記!暗記!暗記!」私大型日本史勉強をしてしまっている受験生にとっては手も足も出ないような難易度に変わります。もはや魔法です。
東大日本史の難易度は以下で述べる対策法・勉強法を素直にやれば「ふつう」に感じられるようになるはずです。
合格者平均点
東進の合格体験記やZ会が公開しているデータ、それに加えて筆者の周りの東大生の開示結果を見ると、
東大合格者の日本史平均点はだいたい40点くらいでしょう。
全国模試を受ければわかりますが、この点数はほとんどの人が本番で初めて叩き出すものです。つまり、本番は採点が甘いということですね。(模試の採点が厳しい説は濃厚)
そのため、東大日本史の模試や過去問演習の点数がこの40点に届いていなくてもあまり気にする必要はありません。
東大日本史の入試対策
東大日本史の入試対策法を具体的に見ていきましょう。
とにかく山川詳説日本史を精読する
これはほとんど全ての東大生が口を揃えて言うことですが、東大日本史対策には山川の『詳説日本史』をボロボロになるくらい精読するのがもっとも良いです。
東大受験の試験会場で周りを見渡せば分かりますが、まじでボロボロの『詳説日本史』ばかりです。
たまに質問されるんですが、山川『詳説日本史』の具体的勉強法とかは特にないです。(心の声:教科書の勉強法とかいうのを聞いてくること自体がナンセンスで東大受験向いてないと思います。ぼそっ)東大日本史選択者はとにかく黙って読むに徹しろ。
過去問演習中心にアウトプット
インプットは上で紹介した山川出版社の『詳説日本史』で十分です。ほとんどの受験生が学校で用意してもらってると思うので、インプット教材は購入する必要がないと言うことですね。
アウトプットも赤本だけでいいです。予備校が出している東大日本史対策の教材は使わなくていいです。無駄に回り道するだけなので。
東大日本史の論述対策
東大日本史の論述で気をつけることは以下のつです。
・指示通りに解く
・知識をひけらかさない
・冗長な表現を避ける
この3つさえできていれば東大日本史の論述は問題ありません。
(こちらの記事でより具体的に上記のことを説明しているのでよかったら見てください。)
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東大日本史対策におすすめの参考書・問題集
基本的には教科書(『詳説日本史』)と過去問(『東大の日本史27ヵ年』)で十分ですが、
こちらの記事ではそれ以外の東大日本史にオススメの参考書・問題集を紹介しています。興味のある方はぜひ見てみてください。
しばしば東大受験生から、 「東大日本史対策の参考書・問題集は何か?」「東大日本史関連の参考書がたくさんあって選べない」 といった質問や悩み相談を受けます。 これを読んでいるみなさんも似たような疑問や悩みをお持ちではないです[…]
東大日本史に特化したWebサイト
最後に東大日本史選択者にとって有益な情報を共有させていただいてから終わりにしたいと思います。
東大日本史といえばこの方!というような大物日本史講師2名がブログで東大日本史について有益な情報を発信しています。日本史の勉強法で困ったら彼らのブログを覗いてみるのもいいかもしれません。
日本史野島博之のグラサン日記
過去に東進で東大日本史を担当、現在は学研プライムゼミで教鞭を執っている野島博之先生のブログ。
つかはらの日本史工房
あの『東大の日本史27ヵ年』を執筆なさった神さまのブログ。