東大合格に必要な時間は3,000時間だとか4,000時間とか言われているが、果たして本当だろうか?また、どういった算出方法なのだろうか?
これまで東大首席をはじめとした100人近くの東大生に勉強法をインタビューしてきた筆者としては、正直に言わせてもらうと、「東大合格に必要な勉強時間」を算出することはあまり意味がないと思っている。
その理由は、そもそも勉強時間を測っていたという東大生が非常に少ないのと、思い出して測ってみても、本当に人によってバラバラだからだ。筆者のように大器晩成型の学生は、平気で5,000~6000時間かかったりすることがあるし(現役合格なのに)、一方で天才型の学生は高三から重い腰を上げて2,000時間ちょいで現役合格できたなんて人もいる。
とはいえ、ある程度の指標があった方が勉強に熱が入るのも否定できないので、今回は、学年別&平日・休日・長期休暇ごとの東大合格に最低限必要な勉強時間を解説していく。
・現役東大生が執筆
・塾や個別・家庭教師で豊富な指導経験あり
・東大首席など100人以上の東大生に勉強法をインタビュー
東大受験に必要な勉強時間の合計は?
2,000時間程度の人もいれば、筆者のように要領が悪く5,000〜6,000時間かかる学生もいる。よく言われているのが3,000時間というが、いったいどういった算出方法なのか甚だ疑問だ。
しかも、何より東大受験生に知っておいてもらいたいのが、「勉強しなきゃいけない合計時間」を実際に気にして勉強してた東大生は意外と少ないということだ。
東大生になって休学期間含め早くも5年の年月が経とうとしているが、「東大合格のためにはこれくらいの勉強時間が必要だから今日はこれくらい勉強しよう」なんてしていた東大生は、筆者の知る限り1人も見たことがない。
筆者含め多くの東大生が、その時その時のやらなければいけないことをただ淡々とこなしていたら東大に合格するのに合計〇〇時間勉強していた、という感じなのだ。
とはいえ、東大合格に必要な合計の勉強時間はしっかり測っていないのでバラバラだが、1日何時間くらい勉強していたかはだいたい覚えている東大生が多いので、以下でケースごと詳細に確認していこう。
東大受験生の平日の勉強時間は?
ここでは東大受験生の平日の勉強時間を高一から高三そして浪人生という順番で見ていく。もちろん学校の時間を抜いた勉強時間だ。
高1
他の記事には2時間でいいなどと書いてあるが、正直それでは少ないと思う。
冷静に考えて欲しい。学校が終わるのがだいたい16時だとして、仮に部活があっても19時には終わる。そこから帰宅してどんなにだらだらしても21時には勉強を開始できるはずだ。
だいたいどこの高校も1年生からみっちり5教科勉強するので、その復習に最低でも3時間はかかると思う。2時間は明らかに足りない。
人によるが、筆者だったら3時間の内訳はこうだ。
0:30 ~ 1:00 → 英文法
1:00 ~ 1:30 → 古文単語・文法
1:30 ~ 3:00 → 数学
5教科どころか2教科の復習で精一杯であることがおわかりいただけるかと思う。流石にこれではまずいので、移動時間などの隙間時間に理科基礎や現代文単語の勉強もしていたが、とにかくきつきつだ。
英単語や英文法、古文単語、古文文法は絶対に毎日やる必要があるのでこれらの復習に2時間かかり、数学をはじめとしたその他の科目に最低1時間はかけたいので、合計して3時間は絶対に勉強しておきたい。
高2
高2はまだ部活もばりばり活動中の学生が多いので、学校のある平日にいきなり勉強時間を増やすのは難しい。高1よりも1時間勉強時間を増やすだけでもかなりきついと思う。
隙間時間をいかに有効に使うかと、部活動後のオンオフの切り替えが物を言う。
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東大受験生は他の高校生と違って高2から受験生のモードで行ったほうがいいかもしれない。
高3
これを実現させるには、まず部活を引退していることが前提で、その上で放課後に突入したらすぐに勉強を開始して、移動時間もがっつり勉強し食事・風呂・睡眠以外を全部勉強に費やす必要がある。
受験生の中にはこうしたストイックな生活をできずにダラダラしてしまい、他の受験生が寝ている時間に夜更かしをして勉強時間を埋め合わそうとする人がよくいるのだが、勉強の効率が悪いのであまりお勧めはしない。
受験の年くらいは1分1秒を大切に過ごして、なんとかまとまった勉強時間を生み出して欲しい。
東大受験生の休日の勉強時間は?
次に東大受験生の理想的な休日の勉強時間について解説していく。
高1
この6時間という数値の算出に関しては、6時間睡眠・6時間部活・6時間勉強・6時間遊びというバランスを考えた。実際には睡眠時間が8時間で部活動が4時間だろうが、数字が綺麗なので。
また、休日には最低限5教科とも1時間ずつは復習時間が取れるようにしておきたいので、そういう意味でも6時間という設定がベストだろう。
高2
東大受験を考えている高2は、休日に高1よりも多くの勉強時間を確保しなければならないが、その時間はこれというものが決まっていない。だいたい高1よりも2、3時間多く勉強していれば良いのではないだろうか?
「高校生活や部活動にも慣れてきてそろそろ受験も見据えるか」となる時期なので、人によっては受験モードに突入するケースも少なくない。
ちなみに筆者は暇だったので、高2の時期から基本的には受験生のような生活をしていた。休日は10時間以上勉強していたと思う。
高2の勉強時間は人によりけりだが、多く勉強すればするほどアドバンテージなのは確かだろう。
高3
受験生は完全に勉強しかすることがないはずなので、睡眠(8時間)や食事・休憩(2時間)や風呂(1時間)などの時間を考慮しても絶対に10時間以上は勉強できる。何がなんでもこの勉強時間は確保したい。
もっと厳しいことを言うと、今までどんなに勉強してこなかった人でも10時間は達成してくるので、他の東大受験生と差をつけるためにも14,5時間は勉強しておくのが受験戦略上好ましい。
実際には勉強時間など考えなくても課題が山積みなはずだから、一日中死に物狂いで勉強して気づいたら15時間勉強していたなんてことがふつうに起きるので、10時間勉強するのは大したことないことである。
東大受験生の夏休みの勉強時間は?
次に夏休みに東大受験生が確保しなければならない勉強時間についてお伝えしていく。
高1
その理由としては、これもまた休日の時と重複してしまうが、1日を分割したときに6時間という時間がもっともバランスがいいから。そして、もう一つ理由を付け加えるとしたら、前期に習った全科目(5科目)の復習をするのに1教科1時間は欲しく、これに最低でも6時間はかかると思うから。
実際にはそんなうまくは勉強が進まないと思うが、理論的に6時間がもっともバランスがいいと思う。
もし、英語や数学の勉強がこの時点で遅れてしまっている学生がいるとしたら、マジでやばくなるうちに夏休みで追いついておいたほうが良いだろう。東大受験は高1の夏休みしかまとまった時間を使って総復習する機会がない。
繰り返すが、高1は時間が無限にあると勘違いしやすい学年だが、受験の運命が決まると言ってもいい1年次は3年間のうちで最も重要な学年である。
高2
高2の夏休みまで来ればだいぶ高校生活を満喫し慣れきった時期だと思う。特にやりたいことがなければ高2の夏休みにたくさん勉強してライバルと差をつけよう。
目安としては1日8時間、勉強好きなら1日10時間は勉強するのが理想的だ。こちらも休日と変わらない。
高2の夏休みに頑張って勉強しておくと何がいいかと言うと、一番気が抜ける時期だから東大受験のライバルと一気に差をつけられることだろう。中学だろうが高校だろうが大学だろうが2年生というのは何かと中だるみが生じるものだ。
ライバルが油断している隙に主要3教科を総復習しておき、理科や社会といったサブ科目の勉強も一歩進めておけばかなり強い。また、文一や理一を目指している学生は、この時期に中高一貫校勢のカリキュラムの進度も意識して東大受験の勉強時間を増やすのも効果的だろう。
高3
東大受験生の高3は睡眠・食事・入浴以外は勉強漬けだ。高3に限っては、夏休みは休日よりも多くの勉強時間を割きたい。
夏休みに今まで全く勉強してこなかった人たちも死にものぐるいで勉強してくるので、具体的な数値を言うと1日12時間は勉強したい。
たいてい、サボっていた人たちが夏休みから急に長時間勉強し始めるのは無理な話で、だいたい多くても8〜10時間くらいしかできないだろうから、この記事を見ている人は12時間勉強して彼らと差を広げるのを目的としよう。
浪人生
浪人生は受験に受からなければ意味がないので、後悔しないためにも可能な限り勉強し続けよう。他の記事を読んでいると、1日12時間でいいとか甘ったるいことを書いているものがあるが、正直それでは足りないと思う。
現役勢が夏休みに10時間以上平気で勉強しに生きているのだから、後のない浪人生はその倍とは言わないまでも1.5倍の15時間は勉強したい。ぜひとも人間の限界に挑戦して欲しい。
また、勉強時間とは関係ないが、予備校に通っている学生はこの時期に宅浪に受験タイプを変える学生もちらほら出て来るので、もし予備校での受験生活に疑問を抱いている学生がいるのならば、こちらの記事を読むのがよいだろう。
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東大受験の勉強時間はいつから増やしていけばいい?
東大受験の勉強時間をいつから本格的に増やしていくべきか?という質問がしばしばくるが、答えを言うと、増やすべきだなあと思った時から勉強時間を増やすのがいいと思う。
こちらの記事でも他の東大生が言っているが、本格的な受験勉強は早く始めるに越したことはない。受験にフライングなどないのだから、自分が「始めたほうがいいかも、勉強時間増やしたほうがいいかも」と思ったタイミングでそうするのがいいと筆者は思う。
学生「東大受験の勉強はいつから始めればいい?」「高3秋から受験勉強始めても現役合格できるって本当?」 東大受験の勉強をいつから開始すべきかについては色んな説が出回っていて、どうしていいか分からない![…]
ただ、こちらも指標が欲しいという学生がいるかもしれないので、あえて提示すると、高2の冬からは本気で勉強時間を増やしにいくのがいいと思う。
筆者が通っていた神奈川県のトップ進学校は「高2冬から受験0学期」とか豪語していて、筆者含め周りの受験ガチ勢たちもそのタイミングでガリガリ勉強し始めていたので、つまりはそういうことだと思う。
まとめ
以上をまとめると、東大受験に必要な合計勉強時間というのはあくまでも気休め程度にしかならず、それよりも重要なのが今自分が何をすべきでそこにどれくらいの時間がかかるのかを自分で計算することだった。
そうすればだいたい必要な勉強時間もそれぞれわかってくるし、たいていその勉強時間というのが上でお伝えしてきた具体的な数値に近づくのだ。
繰り返しになるが、東大受験に必要な勉強時間にあまり神経質になる必要はなく、マイペースに勉強して欲しい。そうしたら自ずと勉強時間がついてきて合格した後振り返ると「ああ、だいたい1日これくらい勉強していたかな」というふうになる。
何を言っているのかさっぱりかもしれないが、むしろそれでいい。とにかく今やるべきことをしっかりやるのと、何よりも復習を大事にしておくれ。
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