東大文系受験生の中でも数学で苦労している人は多いのではないでしょうか。
しかし、東大文系に合格するためには数学を攻略することは必須です。文系だからといって軽視してしまうと合格が難しくなってしまいます。
そこで、今回は東大文系数学について現役東大生の筆者が、基本情報や対策法、おすすめの参考書などを紹介していきたいと思います。
・東京大学文科二類の学生が執筆
・東大首席など100人以上の東大生に勉強法インタビュー経験のある管理人監修
東大文系数学の基本情報
まず、東大文系数学の基本情報を確認していきます。
時間
多いようで少ないです。
その年の難易度によって違いますが、かなりぎりぎりの時間だと思います。
構成・配点
配点は80点満点で、大問一つにつき20点だと思われます。
出題範囲・傾向
頻出分野は数列・微分積分・確率・図形と方程式・整数問題です。
これらの単元を仕上げることが必須となってきます。
難易度・レベル
いくら文系といえども東大数学は鬼のような難易度だと想像するかもしれませんが、実際はそんなことはなく、しっかりと対策をすれば満点すらも狙える難易度です。
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目標点
いくら数学が得意でもほかの教科もしっかりと取らないと合格できないのが東大入試ですからね。
数学が苦手な人
東大文系数学が苦手な人は最低でも35点以上は狙いましょう。
前述したとおり、東大文系数学はしっかりと対策すれば点数がもらえます。逆に言えば、数学が極端に苦手だとかなり差をつけられてしまい合格が難しくなってしまいます。(ごくまれに東大文系数学一桁で合格する人もいますが、そのような人たちは英語がかなり突出していることが多いです。)
したがって、苦手であっても半分近くを目標に食らいつきましょう。
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得意でも苦手でもない人
東大文系数学が得意でも苦手でもない人は50点以上を目指しましょう。
50/80と聞くとかなり高得点に思えますが十分に可能な点数です。
先ほど挙げた頻出分野を中心に対策しましょう。
東大文系数学で60点以上取ればほかの科目である程度失敗してもカバーできます。
数学が得意な人
東大文系数学が得意な人は70点以上を目指しましょう。あわよくば満点といった感じですね。
数学が得意な人であれば、満点近く取ることは全然不可能ではありません。数学でこれだけ稼げればかなりのアドバンテージになります。
しかし、東大文系数学は失敗すると一気に点数が下がる科目ですので、数学だけに頼るのは絶対にやめましょう。
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数3の必要性
東大文系数学に数Ⅲが必要かどうかという議論はよくされるものです。
結論から言うと、ほとんどやる必要はないです。
確かに、数Ⅲの微分積分をマスターすればかなり解くのが楽になります。しかし、数Ⅲを入試レベルまでマスターするにはかなりの時間と労力がかかります。
その時間をほかの教科に充てたほうが絶対に効率がいいです。
東大文系であれば英語を仕上げるのにかなりの時間を要しますし、社会を二次で2科目もとらなくてはなりません。
したがって、数Ⅲは本当に余裕がある人以外は手を出さないようにしましょう。
この記事を読むとわかること ・文系でも数Ⅲをやるべき理由4つ ・文系入試数学でも役に立つ数Ⅲの知識3つと対応する入試問題…
東大文系数学の特徴
ここでは特に当たって注意しておきたい東大文系数学の特徴を解説していきます。
すべて記述式のため時間が足りなくなる
そのため、解答に至るプロセスを事細かに書かなければなりません。
しかも大問4つを100分でこなすとなると、単純計算で一問を25分で解答しなければなりません。
難易度はそこまで高くないとはいえ、入試問題ですのでしっかり考えさせる問題が出ます。それをこの短時間で過程まで書き上げるというのは至難の業です。
そのため毎年受験生は時間配分に苦労しています。
解ける問題と解けない問題を見分けないといけない
上で述べたように東大文系数学では時間が足りなくなります。
そこで重要になってくるのが、どの問題にどれだけ時間をかけるかという判断です。
「全然解けない問題をあきらめきれずに解き続けてしまい結局ほかの問題まで手が回らなかった」といった経験が受験生であれば一度はあるでしょう。それが受験本番で起きてしまったら大変です。
解けない問題には早めに見切りをつける・解ける問題を確実に解くという判断が非常に重要になってきます。
東大文系の問題は例年、絶対に解きたい問題が1問、時間をかければ何とかできるという問題が2問、トップ層でないと完答が難しい問題が1問出題されます。
そのため、どの問題が難しくて、どの問題を解答しなければならないかをその場で判断する能力が求められます。
これは相当訓練しないとできるようにならないので、しっかりと赤本などで本番形式の演習をすることが必要です。
答えにいたるプロセスが重要
東大文系数学の大きな特徴としてすべて記述式であるという点をあげましたが、記述式であるがゆえに答えまでのプロセスがかなり重要になってきます。
東大は解答に至るプロセスもしっかり評価してくれます。実際に周りの東大生からも、計算ミスをしたのに意外と点をもらえたという話をよく聞きます。筆者も東大文系数学の本番は1完だったのですが開示では40点以上の点数がもらえていました。
そのため、部分点をどのくらい稼げるかが勝負のカギになってきます。
部分点を稼ぐためには普段から解答の書き方に気を付ける必要があります。数学は細かい所に厳密な議論を要求する学問でありますから細かい論理関係を曖昧に書いてしまってはいけません。
東大文系数学の勉強をするときは論理をスキップせずにしっかりと記述するようにしましょう。場合によっては先生に添削してもらうのもアリかと思います。
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東大文系数学の対策法・勉強法
ここからは東大文系数学を攻略するためにどんなことをすればいいのか。筆者やそのまわりの東大生がどんな勉強をしてきたのかを詳しく書いていきます。
全分野共通
東大に合格するためにどのように数学を勉強していけばいいのか。
もちろんたくさんの問題を解いたり難しい問題集にチャレンジすることは大切です。どんなに質の高い勉強をしていても量をこなさないことには始まりません。
しかし、もっとも大切なのは定義を大切にするということです。
数学の教科書では分野ごとに様々な定義がされていきますが、東大文系数学の場合、それらをしっかりと理解していないと少し考えさせるようなひねった問題に対応することができません。
「これはつまりどういうことなのか。」「つまりはどんなことが言いたいのか。」このように、問題を根本からさかのぼり定義に帰ることで数学力を高めていくことができます。そのため、新たな分野の勉強をするときはしっかりと教科書を読みこみ、その後問題集をこなしていきましょう。
また、定期テストや単元テストを活用するのもいいです。
東大文系数学は範囲が広いのでどの分野から手を付けていいかわからなくなることが多いと思います。そのため、直近のテストに向けて分野ごとに勉強していくことが、最も効率よくかつモチベを維持したまま続けていける勉強法と言えるでしょう。
東大文系数学の勉強の順番としては、
②チャートや配布される問題集などをとにかくこなす。このとき、分からない問題は教科書に戻って確認する。
③受験用の難しめの問題集をやる。
④過去問をひたすらやって傾向をつかむ。
こんな感じです。
また、勉強をするにあたってよく言われる議論が「質か、量か。」ですが、少なくとも数学に関しては量をこなさないと始まりません。量をこなしわからない問題にぶつかり、あれこれと試行錯誤することによって数学力は高まっていきます。
数学が苦手な生徒は分からない問題が出てくると後回しにしてしまう印象があります。そこでひと踏ん張りしてしっかりと向き合うことが苦手を克服する最短かつ唯一の道です。
ぜひ数学から逃げることなく頑張ってください。
以下では分野別に東大文系数学の対策法を解説していきます。
確率・場合の数
まずは確率・場合の数です。東大文系ではほぼ毎年のように出題されている超頻出分野ですね。
確率と場合の数はまず基本的な公式を覚えるところから始めましょう。CやP、重複順列や重複組み合わせ、じゅず順列の公式などです。この分野は考え方が非常に大切です。
ある問題に対して、「このパターンはこの公式を使えばいいじゃん。」と脳死で進めるのではなく、「この問題はなぜこのように考えるのか。なぜこの公式を使うのか」というように常に問題の本質を理解しながら進めて行きましょう。
この分野は極めて行けば行くほどかなり複雑になってきて考え方も難しくなっていきますが、本質を理解しながら勉強をしていけばしっかりと対応できるでしょう。
また、東大やほかの大学も、受験では新しいパターンの問題がほぼ毎年出てきます。したがって、東大含めいろいろな大学の過去問を解くのもいい勉強になります。さまざまな問題に触れ、解法の引き出しを増やすことで応用力もついていきます。
実際に筆者は一橋や京大の文系数学の問題に手を出したりしてました。新たなパターンといっても全く思いつくはずのない解き方をするようなものは少なく、しっかりと基礎を抑えていれば対応できる問題ばかりです(一部超難問もありますが…)。
微分積分
微分積分も東大文系数学で頻出分野の一つです。ほぼ毎年のように出題されており、しっかりとした対策が必要です。
また、この分野の問題は比較的簡単であることが多いです。逆に言えば、落とすことのできない超重要分野でもあります。
微積分を学ぶ上でも重要なことはまず、公式をしっかり覚えることです。公式の暗記と運用さえしっかりしてしまえばあとはほとんど計算をするだけで攻略できます。
おすすめの勉強法はやはり教科書かわ進めて公式を覚えていき、実際に問題を解いて使い方を学んでいく感じですね。公式は丸暗記するというよりも問題を解いていくうちに身についていくという感じのほうが確実に覚えることができます。
また、演習をすすめていくうえで重要なのことが、「計算のやり方」です。この分野は計算が多いがゆえに計算ミスが多くみられます。しかし、計算を工夫することによって計算量を減らしてミスのリスクを軽減できるのです。
そのため、演習で起きた計算ミスを放置せず、「なぜそれが起きたのか」「もっと簡単なやり方はないのか」などというように考えながらやっていきましょう。
数列
数列も東大文系数学の中で頻出分野の一つですね。
数列は解法が思いつくと簡単に完答できてしまう反面、全く思いつかずに手が付けられないという場合もあります。本番でそうならないためにもしっかりと対策することが必要です。
数列の対策法はずばり、パターン暗記です。とくに漸化式など様々なパターンがあり、それらを覚えることが必須です。
網羅系の参考書を一通り覚えたら応用問題に挑戦して、それらの公式を当てはめていきます。確かに入試問題となるとパターン暗記だけでは対応できません。しっかりと理解をしたうえでの暗記をしていきましょう。
整数
整数問題も東大文系数学において頻出問題であり、かつ難問が出やすい分野でもあります。
どんなに対策をしていても全くわからないなどということは多々あります。また、数学ガチプロ勢とその他の受験生の差も生まれやすいです。
対策法といえば、ひたすら問題集を解くしかないです。問題集を解き、自分の中でたくさん引き出しをもった上で本番の問題にアプローチするといった感じです。
本番でもし解法が浮かばなかった場合は勇気を出して飛ばすことも必要です。100分という制限時間の中でより多くの点を取らなきゃいけないわけですから、沼にはまらないように注意しましょう。
東大文系数学のおすすめ参考書・問題集
ここからは筆者が実際に使ったり、周りの合格者が使っていた参考書などを紹介していきます。参考書選びは受験をく略するうえで非常に重要になってきますので是非参考にしてください。
『青チャート』
これは筆者がダントツでおすすめできる参考書です。
系列としては解法網羅系の参考書で、全部分野の頻出問題が、初級問題から上級・入試レベルまで網羅されています。また、5段階でレベル分けされているため自分のレベルにあわせて勉強していくことができます。
チャート式はほかにも白・黄・赤がありますが、前二つは東大を目指すには簡単すぎ、赤は導入として使うにはすこし難しすぎます。やっぱりダントツで青がおすすめで、筆者の友達もほとんどが青チャートを使用していました。
使い方は、分野ごとに教科書を一通り終えたあとに使っていく感じです。筆者は定期テストごとにそのテストの範囲の勉強として3,4周していました。
正直、青チャートを本気で分からない問題がなくなるくらいまでやり込めば定期テストはほぼ満点が取れるし、模試でもかなりいい成績が取れ、入試レベルの問題に挑戦する基礎能力がかなり身に付きます。
ぜひ、網羅系の参考書として使ってみてください。
『一対一対応演習』
これも東大文系受験者では使う人が多い参考書です。
タイプとしては青チャートよりもより入試に近い難易度の網羅系で、全分野を網羅系参考書を使って一通り学習した後、過去問に入る前に使う人が多いです。
この参考書のいい所はより入試に近い難易度の問題を網羅しているところで、パターン化されているためスムーズに入試問題に移行できます。また、筆者のように受験勉強の期間が短くあまり時間が取れない人はじぶんが苦手な分野だけをやるという使い方もあります。
筆者は場合の数・確率が苦手だったのでそこだけ3周ほどやりました。受験勉強の期間が長く数学に多く時間が取れるという方はぜひすべてやりましょう。かなり入試問題が解きやすくなると思います。
『文系数学の良問プラチカ』
これは河合塾が出している参考書で東大文系受験者からもかなり愛用されている名作の一つです。
難易度は高く、入試問題レベルで、本当に重要な問題だけが載っています。この参考書の特徴としては問題数は少なく、本当に重要かつ本質的な問題が掲載されているため、問題にアプローチする際の思考のレベルが一段階上がります。
使い方としてはこれも入試問題に入る前にやる人が多いです。筆者も高3の夏休みを使って一通りやり、入試レベルの数学力まで一気に引き上げました。
この参考書は東大文系受験生で本当に使っている人が多いのでかなりおすすめです。ぜひチャレンジしてみてください。
『赤本』
赤本は誰もが知る参考書でしょう。
赤本には東大文系数学の問題が20年分以上載っており、傾向を知るうえで絶対に欠かせない参考書です。難易度はもちろん入試レベルです。赤本の特徴としては過去問がそのまま掲載されているところで、上で紹介した参考書などを一通りやった後、最終的に挑戦する問題集になると思います。
筆者おすすめの使い方は、しっかりと一年ずつ時間を測って挑戦することです。本番形式でやることで、意外と時間が足りないこともわかりますし、解けない問題を見極めて飛ばす能力も身に付きます。
また、2、3年分は入試直前までとっおきましょう。入試直前の問題演習として最適です。すべて解き終わってしまうと直前期に演習ができなくなってしまいます。
赤本の弱点としては解説が少し貧弱ということです。あとに紹介する入試系参考書はより解答解説が詳しいものとなっています。
『東大数学で1点でも多くとる方法』
この参考書は東大の過去問を扱っており、文字通り東大文系数学で1点でも多くとるための解答の書きかたが細かく書いてあります。
特徴としては、赤本よりも解答解説が圧倒的に詳しい所です。
ただ問題に対してその解答が載っているというわけではなく、その他さまざまな問題に対応するための本質的な考え方がしっかりと提示されています。
正直、数学で高得点を狙っている受験生は赤本よりもこっちを使うべきです。
『鉄緑会東大数学問題集』
この参考書は東大の過去問を扱っているわけですが、解答解説が最強レベルです。かの有名な鉄緑会が出版しています。
この参考書は少し高いですが、買える人は絶対に買いましょう!解説の分量がものすごいだけでなく、東大受験にフォーカスした様々な知識・考え方を手に入れることができます。
この問題集についていけるようになれば、本番で満点を取ることも本当に可能になってきます。
ただ、デメリットとしては値段がかなり高いところとところどころ受験レべルを超える部分があり、余裕がない受験生にとっては時間の無駄となってしまいかねないという点です。筆者も数学にあまり時間を使えなかったので受験時代は使用しませんでした。
まとめ
いかがでしたか?
今回は東大文系数学の概要・対策法・おすすめの参考書を紹介しました。
東大文系数学はしっかり対策すればその分点数も期待できる科目です。自分のレベルと科目ごとのバランスを考えて参考書を選び、最適な勉強法と最適なルートで合格レベルの数学力を身につけましょう。
この記事が多くの受験生の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。